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□熱
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「行っちゃだめ。」
『え、どうしたの?』
ガシッと掴まれた私の腕。
彼がこんなことするなんて、めずらしい。
「んー、なんとなく…」
『ゆっきー、熱でもある?』
なんてちょっとバカにしたように、おでこに手をあててみる。
『えっ、ゆっきー!本当に熱い!』
「え?」
『え?、じゃなくて。熱があるの!』
「だから身体ダルかったのか…」
なんて冷静に言う彼とは正反対に私は大慌て。
『ほら、ゆっきー!起きてないで寝なきゃダメ!ご飯食べて!薬のんで!冷えピタ貼って!ってかなんで自分で熱あるって分からないかなぁ?』
「…スイマセン」
さすがのゆっきーも、すごい剣幕でまくし立てる私に負けて謝った。
『なんか冷たいものでもいる?私買ってくるよ』
財布を持って外へ出かけようとしたとき。
「いっちゃ、だめ。」
再び彼に掴まれる腕。
そんな目で見つめられたら、動けなくなるじゃない。
『でも…』
「そばにいてくれればいーから。」
彼の究極の一言に負けて、私は結局動けなくなってしまった。
熱
(掴まれた腕が熱いのは彼の熱のせい?)