*Dream*
□06
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「「?」」
2人が視線を移すと自分達を呼び止めたのはがっしりした体格の男性だ。
男性は2人のベルトに着いたモンスターボールを見るなり
「おう!ポケモントレーナー、元気そうなポケモンを連れてるな!」
男性の声に反応する様にカタカタと動いたのは2人のモンスターボール。
「お、反応してくれたな!」
ニッと笑う男性は何か思い付いたのか此方を見るなり
「そうだ!ちょいと頼まれてくれ!」
そんな突然のお願いに2人は思わず顔を見合わせてから
「頼まれ事…ですか?」
シオンが怪訝そうな表情を浮かべて警戒する様な眼差しを向けると男は豪快に笑いながら
「なぁに、そんな警戒しなくても別に変な事じゃねぇから安心しろ!頼みと言うのはこのコンビナートで働く連中に活をいれるだけだ!」
「活?」
メイが疑問風に聞くと
男性はコンビナートを見渡しながら
「実はな、新人が何人か入ったんだが…毎日同じ事の繰り返しだとどうもたるんでくるからな。活を入れる事で気持ちを切り替えてキビキビ働いてほしいんだよ!どうだ?そんな難しい事ではないし引き受けてくれるかい?」
少々強引であるものの裏表の無いサッパリした物言いの男性に
「私達でお役に立てるので良ければ」
メイが了承の意味の返事をし、シオンも同意する様に頷いたのを見て
「おう!頼もしい返事だな!このコンビナート内で働く新人の作業員が居る。そいつら3人に活をいれてきてくれ!」
男性の声援を背に受けながらもコンビナート内に足を踏み入れた。
「凄いな」
独特の機械音がコンビナートには響いており草むらではポケモントレーナーが自分のポケモンを野生のポケモンとバトルさせて鍛えていたのだ。
「…さてと、あの男性から頼みを引き受けたのはいいがその作業員って一体何処に居るんだ?仕事しているとは言え…」
シオンがコンビナートを見渡しているとメイが思い付いた様に手を叩いて
「そうだ!二手に分かれましょう!私は作業員をメインに探しますからシオンさんはコイルのゲットを優先して下さい!」
「え?それだとメイばかりに負担が…」
そう紡いだシオンにメイは
「大丈夫です!作業員を探しながらでもポケモンを鍛えたりゲット出来る環境ですからね!」
同時に脳裏に過ったのは
「『コンビナートでポケモンを鍛えられるしね!』」
タチワキシティに到着時にかかってきたメイのライブキャスターから聞こえたメイとメイの母親のやり取り。
メイが気を使ってくれている事にシオンは頷くと
「…そうだな。じゃあお言葉に甘えてそうさせてもらうよ」
「では、何かありましたらライブキャスターにかけて下さいね!」
此方に手を振りながら先を行ったメイにシオンも手を振っていたもののその先には
「おい!トレーナー!俺とポケモン勝負だ!」
短パン小僧の少年が待ち構えており
モンスターボールを手にメイの前に立ち塞がったのだから。
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