*Dream*

□06
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「かあっ!お前強すぎっ!」

メイは勝負を挑まれた短パン小僧(マサヒロ)とのポケモン勝負に勝利して賞金を受け取っているとリオルの身体が光りだした事に

「!リオル!?」

光が収まると一回り大きくなったその姿に図鑑をスキャンすると

「ルカリオ…凄い!進化したんだ!」
「すげえな!おめでとう!」

負けたにも関わらずルカリオが進化した事を祝福するマサヒロにお礼を言ってメイはその場を後にする。

改めてコンビナートを見渡すと

(1人目の作業員は確か、直ぐ近くに居たな)

その作業員の元へ行く為には道、そして足場の代わりになっているいくつものパイプを渡らなければ作業員の元には辿り着けないらしい。

「あ、」

視線の先に階段があるのが見えた。
そこから登ってパイプを渡れば最初に見かけた作業員の元に辿り着ける事が解って

「よしっ!」

メイは気合いを入れて階段に向かうと
パイプの上でバランスを取りながらゆっくりであるものの確実に歩いて行く中で

(あ、シオンさんが居る)

視線の先ではシオンが草むらでポケモンバトルの最中だったのだ。

『キキッ』

草むらから飛び出してきたのはミネズミ。
お目当てのコイルでは無いがマメパトをバトルに慣れさせる為に戦わせている様子に笑みを浮かべると

「…おっと」

危うくバランスを崩して下に落ちそうになりながら不安定な道を改めてバランスを取りながら目的の場所へと歩いていく。

「到着、っと!」

パイプの道から漸く頑丈に出来た足場に着地をするとその先に居る地上から見えていた作業員の元へと向かう。

「!」

その作業員は此方に気づくなり何故か一息ついてから

「大好きなポケモンと一緒ならそれだけでハッピー!」

唐突に叫んだ事にメイはびっくりして思わずぽかんとなる。
人が居た事に気づいて作業員が顔を上げると

「あれ?もしかしてポケモントレーナーかい?こんにちは。僕はミツハル、よろしくね」

へにゃりと癒し系な笑顔を向けるミツハルに何故か釣られて笑っていると

(そうだ、あの男の人に頼まれてる事を伝えないと)

メイはミツハルに此処に来た事情を話すときょとんとしながらも

「親方から?うん?勝負なの?そうだね………ちょっと遊ぶかな」

そう紡ぐなり手にしたのはモンスターボール。
雰囲気からしてバトルのスイッチが入ったのか目付きも変わっており

「よし、いっくよー!ミネズミ」

緊張感の無い口調と共にモンスターボールから出てきたのはみはりポケモンのミネズミ。

『キキッ』

(…ミネズミ。コンビナートの作業員にはピッタリなポケモンなんだ)

「行くよ!ルカリオ」
『あぁ、直ぐに終わらせてやる!』

投げたモンスターボールから開閉音と共に飛び出したのはリオル改めルカリオだ。

「よーし、ミネズミ、『たいあたり』!」
「ルカリオ!かわして!」

『たいあたり』を繰り出すミネズミに
ルカリオが軽やかにかわす姿に

「おー、やるねぇ。だけど足場が悪い分、それに慣れている僕達の方が意外に有利なんだよねぇ」
『キキっ!』

ミツハルがへにゃりと笑いながら紡ぐとミネズミと久し振りのバトルにやる気満々なのか鳴き声を上げていた。

『確かに足場は悪いがこれぐらいハンデがあった方がやりがいがあるぜ』

ニヤリと笑って紡ぐルカリオにミネズミが怒りを露にしていると

「よーし、ミネズミ!『なきごえ』」

ミネズミが『なきごえ』で攻撃力を下げて来たものの

「!ルカリオ!」
『あぁ、解ったよ!』

メイの声にルカリオが走るなりコンビナートの機械を足場にしながら宙に舞う。

「おー、君のルカリオ、凄いジャンプ力だねぇ」

思わず感心する様に見上げるミツハル。
しかし、着地先はルカリオの足幅には明らかに狭い場所である。

(着地した瞬間にミネズミの『たいあたり』を繰り出すかな。予想外の攻撃にきっと確実にルカリオは下に落下するから)

だが次の瞬間。
ミツハルの肩に重みを感じた事に

「え!?」

ミツハルは驚きを隠せずに肩を見ると
右肩に居たのはメイのルカリオだ。

「なっ…!」
「その体勢からミネズミに『はっけい』!」

驚きを隠せないミツハルをよそにメイの指示が響き渡る。

『キキッ!』
「ミネズミ!避けろ!」

しかし、それよりも早くルカリオがミネズミの背に手をついて飛び越えていく。

『!』

同時にミネズミの背中に伝わる『はっけい』の衝撃。
その場で目を回して倒れたミネズミに

「頑張ったね、ミネズミ。ゆっくり休んで」

ミツハルは労いを言ってモンスターボールの中に戻してから

「ふーん…やるねぇ。これは僕もウカウカしてられなくなったなぁ」

ミツハルはメイの元に戻っていくルカリオを見てへにゃりと笑いながらももう1つあるモンスターボールに手を伸ばした。

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