*Dream*

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『第12話。「螺旋が告げるファンファーレ〜 fragment 〜」』


「…?」

急に空が暗くなった事に
空を見上げたもののそれは一瞬だったのかそこには晴天が広がっている。

(………気のせいか?)

鳥ポケモンにしては影が大きかった事に疑問に思っていると

「シオンさん、どうかしました?」
『ぶいぶい?』

メイとメイの腕の中に居るイーブイが同じ様に首を傾げながら自分を見ていた事に

「いや、何でもないよ」

そう言いながら膝の上で気持ち良さそうに寝ている別のイーブイの頭を撫でるシオン。

『ぶーいっ!』
『ぶぶーいっ』
『ぶらっきぃ』

ヒウンの空き地ではシンボルでもある木の周りでノワールとイーブイが楽しそうに遊んでいる姿。

(…ノワールも仲間に久しぶりに会えて本当に嬉しいんだな、凄く楽しそうだ)

今まではその中でメイも遊んでいたが遊び疲れたらしく遊んでいる最中で懐かれた1匹のイーブイと一緒に休んでいる最中だ。

『ぶいぶーいっ!』
「よしよし、キミは人懐っこいね」

腕の中に居るイーブイにそう話しかけながらメイが優しく笑いかけている。
ひょっとしたらメイと一緒に旅をする可能性も秘めてきている事に

(一緒に行くかはイーブイ次第…だな)

シオンの膝の上で寝ていたイーブイが身体をピクリと動かしたのを同時に目を開けるなり小さく欠伸をする。

『ぶい…?』

未だにとろんとした目付きで此方を見上げるイーブイに

「ん?まだ眠いのならもう少し寝てても大丈夫だぞ」

まだ寝ぼけ眼なイーブイの様子にシオンは小さく笑みを零して頬を撫でていると

『ぶい…』

小さく鳴いて気持ち良さそうに目を細めてから再び膝の上で丸くなるイーブイ。

「……可愛いな」

すやすやと眠る姿は本当に愛らしく可愛いポケモンが好きな人や小さい子供から女性にまで人気なのも納得出来る。

《おねーさぁーん!》

ノワールが此方に別のイーブイ達と一緒に来ると膝の上で寝ているイーブイを見て

《あれ?まだその子寝てるの?》
「うん、先刻少しだけ起きたけどまだ眠たかったみたいで直ぐに眠ってしまったよ」

そう呟いて膝の上で眠るイーブイを撫でているとノワールの傍に居たイーブイの1匹が

《このお姉さん、ノワールの言ってる事解るの?人なのに》

そんな声が聞こえてきた。
人に例えるなら負けず嫌いなそんな男性の印象を思わせる声だ。

《うん。正確には村雨さんって言うルカリオが波動を操作しておねーさん達にボク達の声が聞こえるようにしてくれてるの、だから今は君の声もおねーさんに聞こえてるよ。》

ノワールの言葉にそのイーブイも

《ふぅん、じゃあ…そのルカリオが居なきゃ俺達の声は聞こえないわけか。あの緑髪と同じ様に俺達の事が解ると思ってた》

(緑、髪?)

そんな人物の特徴に首を傾げるシオン。
このオスのイーブイの話が本当ならイーブイ達は自分達の声が解る人と出会った事になるのだ。

《でも、おねーさんは村雨さんが波動を使ってない時でもボクや村雨さん達の言葉が解ったりする時があるよ?》

ノワールの言葉にオスのイーブイはいまいち信じられないと言わんばかりの表情をしていたのは言うまでもなかろう。

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