April Fool's Day


エイプリルフールSS
グウェンダル他



眞魔国のとある一室。


「姫さん、良くお似合いですよ?ねぇ隊長」


ヨザックが、隣のコンラッドに聞いた。


「ええ。とても可愛らしいですよ」


コンラッドは笑顔で頷く。


『ありがとう』


綺麗な純白のドレスを身にまとって、グウェンダルのもとへ、いざ行かん。


「一発がつんと!いや、がつんとはダメだな。ビシッと?」


有利が不穏な擬音語を並べた。


「今日じゃなくて、普通の日の方が良いんじゃないかな」


健ちゃんはそう言うが、それができたら苦労はしない。


『普段は、恥ずかしくて言えないから。今日ぐらいグウェンダルに、
バシッと決めてくる!』


「バシッとだと?お前は兄上に何をする気なんだ!?」


いつの間にか、ヴォルフラムまで居る。


「何ってそりゃあ、ビンt…もがっ」


健ちゃんが慌てて有利の口を塞いだ。


「何を騒いでいる?」


あぁ…来ちゃったよ、

グウェンダルが。


「なんだ?」


そりゃあ、有利に健ちゃん、コンラッドにヨザック、ヴォルフラムまで居たら不思議だろう。


「兄上!こいつが兄上に何か不穏なこ…」


「はいはーい、空気読みましょうねー」


ヨザックがヴォルフラムを取り押さえ、どこかへ連行して行く。


「何をするんだ!離せ!まだぼくの話は…」


あー、行っちゃった。


「ウエディングドレスの試着か?」


グウェンダルが私を見て言った。


『えっ?あ、う…ん?』


チラッとコンラッドを見る。


すると何を勘違いしたのか、


「そうか、私は邪魔だな」


と、部屋を出て行こうとした。


「待ちなよ、フォンヴォルテール卿」


健ちゃんが引き留める。


「そうだよグウェンダル、結婚するからウエディングドレスの試着してるんだって」


有利、それって墓穴だよね?

何、イジメ?


「渋谷、君って…はぁ」


健ちゃんは頭を抱えて、溜め息を吐いた。


「そう、誰かと結婚するんですよね」


今度はコンラッドが言い出した。


「誰かと…ね」


コンラッドに目配せされる。

あぁ、なるほど。


『うん!私、結婚するの!』


グウェンダルの手を取る。


グウェンダルと!


「私と…?…っ」


バッシィィン!!


私の平手打ちが、グウェンダルの左頬にクリティカルヒット!


『よし!求婚したから行こうグウェンダル!結婚式挙げよう!』


「お、おい、私はまだ右頬を差し出しては…」


手を引っ張って、部屋を出る。





「行っちゃったな」


「行っちゃったね」


おれと村田は顔を見合わせた。


「なぁ、今日ってエイプリルフールだよな?」


「そうだね」


あぁ、どうしよう。


「嘘を言っても良い日だから、告白しても怒られないって言ってたよな」


「告白じゃなくて求婚だったけどね」


「そうですね」


コンラッドは苦笑する。


「誰がグウェンダルに、エイプリルフールだって伝えに行くんだ?」


「「………」」


おれ、嫌だからな?!


「両想いなんだし、正式な挙式って事にすれば問題ないよ」


ふふふと村田が笑う。


大問題だ!


ヴォルフラムが戻って来た。


「婚約ならまだしも、いきなり結婚だと?!ぼくは認めない!認めないからな?!」


「認めなくても、もう式場に行っちゃってるんじゃないかな」


村田は諭した。


「なんだと!?」


ヴォルフラムは慌てて出て行く。


「式は形だけなのにね。籍を入れないと始まらないのに、気付かないのかな」


村田が、黒い。


「ほら、僕達も
形だけの式場に行かないと」


「あ、あぁそうだな」


おれ、もう疲れた…


「ユーリ、大丈夫ですか?」


コンラッドの優しさが身に染みる。


「なんとか。コンラッドが異性だったら、間違いなく惚れてたよ」


「惚れ…ですか?」


気が利く格好良い女性、憧れるなぁ。


「陛下、実は俺…

陛下の父親なんです


「えっ?!」


おふくろが浮気?

おれ隠し子?!


「くす、今日はエイプリルフールですよ」


「あぁ、うん。はは(冗談に聞こえなかった)…」



それにしても、今日はいい天気だ。


「なぁコンラッド」


「何ですか?」


おれはあいつの、晴天みたいな笑顔が好きなんだ。


「これであいつは、グウェンダルの正式な婚約者になれるよな?」


「大丈夫ですよ。彼女のグウェンダルへの愛は、本物ですから」


あいつは、いつでも一途だ。


「そうだよな…あぁ、コンラッド。エイプリルフールおめでとう」


「えぇ、おめでとうございます」


どうか、いつまでも笑顔で。





END

2011.4.1

エイプリルフール限定小説
サイト閉鎖につき、公開再開


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