君が

□気持ちの正体(said.鳳)
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「あれー?宍戸さんどこだろ?」


今日は、部活が休み。

俺は、宍戸さんとCDショップに行く約束をした。


「もう…どこにいるのかなぁ」


校門前で待ち合わせって、宍戸さんが言ったのに…。


「宍戸さ〜ん?」


最近、俺はおかしいんだと思う。

宍戸さんが傍に居ると、凄くドキドキするし、

宍戸さんのことを、一日中考えたりもしてる。


(まるで、誰かに恋をしているかのように…)


「!?」


"恋"と言う言葉が出てきたことに驚いた。


「恋愛感情なんか…有り得ないよ」


それでも俺は、この気持ちが分からぬまま宍戸さんの傍にいる。


「ぁ…」


見つけた。

俺の、悩みのタネの人。


「教室で寝るなんて…珍しいなぁ」


大雑把だから誤解されやすいけど、本当は凄く繊細で芯の強いひと。

こんなにも無防備で…何かあったのかな?


「どーしよ…」


起こすのが普通だと思ったけど、俺は宍戸さんから目が離せないでいた。


「…」


薄暗い教室に二人、吐息の音だけが響く。


「え〜…っと…」


とりあえず、声だけでもかけておこうかな。


「…ん」


宍戸さんが声を漏らす。


「プッ…くっ、ぁあはははッ」


宍戸さんの寝顔に、思わず吹き出す俺。


(何でこのひと、寝るときも眉間に皺よせてんの!?)


凄く可愛い、と思った。


「何か…寝てるときよりもココの皺、多いような……っふふ」

新しい宍戸さんを発見できたようで、何だか嬉しくなった。


「宍戸さーん。起きてー」


「ん゛ー…」


眉間の皺が更に深くなった。

その後も俺は何度か声をかけるが、少しの反応だけで起きる気配はない。


「宍戸さん…」


あ、今キスしてみたら、何かが分かるかもしれない…。

自分のこの唐突な考えに、少し引いた。

でも、試してみたいと思う自分もいた。

い、いいかな…?


「宍戸さん…頂きます」


頂きます、なんて何だか滑稽な気がしたけど、俺は気にせず宍戸さんの唇に口を重ねた。
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