ごめんね、
□ライラックを君に
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桜舞う春の日、俺は、恋に落ちた。
「今思えば、衝撃的な恋でしたよ。ふふ」
その時の相手は、今は俺の隣で微笑んでいる。
この人が俺に触れる度、俺は幾度となく恋に落ちる。
…なんて、甘美なものだったらどれだけ幸せか。
「ったく、暑苦しいなテメェは!ベタベタすんじゃねぇ!」
「ぐふっ!?」
この恋人(性別・男…紛れもない、漢の中の漢)は、甘い雰囲気なんてものは欠片も纏わず、あろうことか大切な恋人兼可愛い後輩である俺を足蹴にする。
微笑むどころか、なーんか企んでるような笑い顔だし、触れるどころか距離までとられる。
本当に、俺の事好きなのかな?
なんて、毎日毎日、それこそ朝昼晩ずっと考えてる。
一回、それを宍戸さんに話したら、
『はぁ?』
って、一言。
しかも、すっごい嫌そうな顔。
…あの、俺たち、付き合って…ます、よ、ね?
この気持ちは不公平なんじゃないか、と考えた。
宍戸さんに、俺が大事ってことを分かってもらおうと思う。
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