ごめんね、
□ライラックを君に
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ベタかもしれないけど、宍戸さんに別れ話を持ち掛けてみよう。
そこで、嫌だ!ってすがりついてくる宍戸さんを想像したら、それだけで鼻血モノだ。
やっぱり、俺の方が宍戸さんのことを好き過ぎてるな、うん。
俺は、はやる気持ちをなんとか押さえ、決行するべく休日練習の日の朝を迎えた。
「し、ししどさ、ん!」
ドキドキし過ぎて、上手く喋れなかった。
宍戸さんは怪訝そうな顔をしている。
「なんだよ長太郎…早くアップしようぜ」
宍戸さんはそう言いながら、簡単なストレッチを始めた。
あぁ、そんな無防備な姿も魅力的です!
…おっといけない。これじゃ宍戸さんの思う壷だ。
「なぁ、鳳のやつ、なんで百面相してんだ?」
「さぁ…大方宍戸先輩のことでしょう」
なんて跳ぶ人とキノコの声が聞こえたけど、俺はそんなことよりも目の前のこの無自覚な恋人のことが大切だった。
俺は伸びていたであろう鼻の下を直し、神妙な顔付きで宍戸さんに話し掛けた。
「あの…ちょっと、いいですか」
「…おぅ」
俺の真剣が伝わったのか、宍戸さんは意外とすんなり了承してくれた。
第一関門突破だ。