携帯獣小説
□ただいま
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柔らかい風がふわりと吹いた。
あのNの城での別れから季節が一巡りした。
アナタは今どこで何をしているんだろうか。
あのゼクロムの背に乗って知らない場所に行ってるのだろうか。
知らない人と出会って
知らないポケモンと出会って
アナタが、アナタの存在がどんどん遠くに離れていく。
知らないうちに私を通り越して、アナタは私を忘れてしまうのだろうか?
「サヨウナラ」
未だに心に突き刺さって抜けない最後のコトバ。
ねえ、私本当はあの時引き留めたかったの。
でもアナタの背に伸ばした手は届く事はなかった。
空を切って、
アナタとの距離はどんどんと離れていって、
気付いたらもうアナタはそこに居なかった。
「会いたいよ、N。」
気付いた時には不意に一筋の涙が流れてて、側にいたジャローダが不安げに覗いてくる。
手の甲で拭えど涙は止まる気配が無かった。
堪えられなくなり、手で顔を覆う。
その時、ジャローダが不意に後ろを向き、私をつついてきた。
余りにもジャローダがしつこかったので、そっと覆っていた手をおろして後ろを見ると、見知った顔が濡れた瞳に映った。
それは間違いなく、
「N…?」
「久しぶりだね、ホワイトちゃん。」
Nは柔らかな笑みを浮かべやってくる。
「どうしたの、目赤いけど。」
「アナタのせいよ…」
驚いたNに、今までのありったけの思いをぶつける。
「アンタが、もっと早く帰って来なかったせいよっ!」
また溢れてきた涙を見られない為に、Nの胸元に顔を埋める。
「ホワイトちゃん…」
よほど驚いたのか、Nは驚いた顔をしていたが、暫くすると私の背中へ腕を回した。
「ごめんね、ホワイトちゃん。本当にごめん」
「馬鹿、Nの大馬鹿」
顔を上げると、Nと目が合った。
申し訳ない、と言いそうな顔に一発軽く叩くと、Nは痛いよ、と少し苦笑する。
ああ、帰って来たんだ、と今更ながら気付く。
「そうだ、ホワイトちゃん」
不意に気付いたように言うNに、私は首を傾げる。
そっと耳元で呟かれたその言葉に私はただただ涙を流していた。
ただいま
(お帰りなさい)
ラストが泣けたので、突発的に書いてみた(^q^)
こんな風に再会できればいいのに…!
とにかくNと♀主人公は幸せになってほしいです\(^-^)/