詩
□2010年
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【振るう剣】
握りしめた剣(つるぎ)
投げすてた盾
がむしゃらに振るう右手で
何が護れるというの?
血に染まる剣
土に塗れる盾
照らされた剣に
うつるのは 泣いてる 君
尖る想い この右手を振るう度に
僕の胸の奥にくいこんでゆく
座り込んで涙を流す君に
差しのべられなかった右手
握りしめた剣
投げすてた盾
がむしゃらに振るう右手で
他人(ひと)を護っているつもり?
はじかれた剣
こわされた盾
突き立てられた剣に
うつるのは 泣いてる 僕
弱い想い あの右手を振るう度に
僕の胸の奥に押しこまれてゆく
盾を捨てて剣を失った僕に
のこされた赤い右手
自分の弱さを隠すため
僕は剣を手に取ったの?
自分の強さを探すため
僕は剣を手に取ったの でも
今は押し殺した「弱さ」を
僕はムリヤリ「強さ」と呼んでる
尖る想い この右手を振るう度に
僕の胸の奥にくいこんでゆく
泣きついてきた君の背中に
僕は右手を添えられない
弱い想い あの右手を振るう度に
僕の胸の奥に押しこまれてゆく
痛さも感じない位にきつく
剣を握りしめた右手