復活
□killer
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※ボンゴレとして活動し始めてから数年後くらい
「全く馬鹿らしいな」
静寂の中を音が伝う。それが彼の発した声だと理解するまで数秒かかった。
美しい闇の色が僕の瞳を射抜いている。
「……何がです?」
彼がその後何も言わないので、僕は聞き返した。
彼はそれを待っていたかのように目を僕から逸らし、真っ黒い瞳を真っ青な空に向ける。細い飛行機雲が視界を掠めた。
「君はマフィアが嫌いなんだろう」
「嫌い、と言うより憎いですね」
何故今更そんな事を聞くのだろう。彼の思考回路は理解したくとも理解できない。
人間離れした人間である。
そう伝えると、君には言われたくないな、と言う辛辣な言葉が返ってきた。
「何故君は、マフィアが嫌いなのにマフィア紛いの事をするんだい?」
「……は、」
なんとも心外な言葉だ。僕がマフィアのような行いをしているだと。
彼にはそう映るのか。
「マフィアなどと一緒にしないでください。冒涜しているのですか」
そう言って、自分が思った以上に憤慨している事に気付く。人間らしい感情に吐き気がした。
闇の色を持つ彼は、ゆるりと微笑して僕を見る。真紅と群青と漆黒が交差した。
「じゃあなんで君は武器なんか持っているんだい。それは人を殺す為の物だろう?」
「自分の身を守る為でもあるのですよ。君だってそうでしょう」
「違うよ。僕のこれは人を殺す為にあるんだ」
漆黒が嗤う。それを見て、僕は何故か恐れを感じた。
吐き気が酷い。身体中の血液がざわざわと騒ぎ、肺が酸素を取り入れようと収縮を繰り返す。
自分と言う存在もやはり人間なのだ。
「君はマフィアが憎いと言うけれど、僕は君とマフィアは似ていると思うよ。だって、」
人間を人間と認識して殺しているじゃないか。
「ほら、似ているだろう」
無表情で言い放った彼は、人間を人間と思わない神の裁きに酷似していた。
killer
***
認識が真逆な二人だからこそ張り合えると思うの