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□(#)俺の全て 1
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何もかも突然やってくる。
誰も予想などしていなかった。
* **** *
目の前には、サイケがいた。
白く長方形の木箱の中で気持ち良さそうに寝ている。
ただ生活の一環で寝ているように、サイケは綺麗な顔で寝ている。
だが、現実は違った。
サイケは一生起きることはない。
もう、あの天使のような笑顔は見れない。
サイケは……本物の天使になったからだ。
サイケのマスターである、折原臨也さんは俺のマスターの平和島静雄さんに抱き着いて泣いている。
臨也さんは、人前ではあまり泣かない人だ。おまけに、静雄さんの前では尚更だ。
だが、今日の臨也さんはプライドを捨てていた。
マスターの胸を借りて、声を押し殺して泣いている。
マスターは、臨也さんを抱きしめながら背中を摩る。
その表情は悲しげな…なんとも言えない表情だった。
二人とも、現実を受け入れての表情、感情だった。
なら、俺はどうなんだ…?
臨也さんみたいに、泣けるか?
マスターみたいに、悲しめるか?
わ か ら な い……
サイケの死を受け入れられているのか…?
いや…………
多分、受 け 入 れ て いない。
俺は、そんなに器用に出来ていない。
機械でも、こんな感情を持つとは造られたときには、考えもしなかった。
だが、サイケと出会って
いろんな感情が現れた。
もちろん、マスターや臨也さんとも出会って知った感情もある。
喜、怒、哀、楽、嫉妬、憎………
サイケが俺の全てだったのかも、知れない…。
だけど、サイケは俺の前から消えた。
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