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□オニゴッコ HappyEnd
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青年は逃げていた。


少年に捕まらないように。
鬼に捕まらないように。




どのくらい逃げたかわからない。




でも、徐々に人が増えてきているのは確かだ。











でも、まだ見つからない。











いつもは、嫌でもすぐに見つかる。





なのに、どうして?









見つけたいときに限って見つからない。












どのくらい走ったかわからない。











でも、もう脚が限界だった。
キシキシと、悲鳴をあげている。











でも、こんなとこで立ち止まってるわけにはいかない。











鬼に見つかってしまう。

















青年が立ち上がろうとした瞬間……………誰かが肩を叩く。













青年の肩………身体全体がびくつく。

















「おい、ノミ蟲…。こんなとこで何やってんだよ……?」













その声は、大好きで大好きでだけど大嫌いな人の声だった。













青年は、おもわず彼に抱き着く。







彼は、唖然としていた。














多分、青年が涙を流していたことには、気づいていないだろう。













青年は暫く彼に抱き着いていた。







彼もただ呆然とするしかなかった。








状況を把握出来ていないから、仕方ない。















青年は少し気持ちが落ち着けば、彼から離れる。















そして、万遍の笑みで言う。





























「シズちゃん、有難う。大好き」














少し目を赤くしたまま、ニッコリ笑った。
















オニゴッコは、青年の勝ちだった。














青年は鬼から逃げ、愛しの人と出会えた。














鬼--少年--は、そんな風景をそっと、人込みに紛れながら見ていた。













手には、まだあの縄があった。














「今回は貴方の勝ちです。静雄さん。ですが、必ず臨也さんは俺が手に入れますから……」













彼の耳にそんな声が聞こえた。




























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