短編小説

□Miss you...
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―目の前には愛しい人がほほ笑みながら眠っている―

―俺の両手はドロっとした生温かい赤い液体がべっとりついていた―


涙が頬をつたい起きた。

「あー今日か…」

銀時は涙を拭い、あくびをしながら頭をかき居間に向かった。

居間に入ると神楽とお妙が出掛ける準備をしていた。

お妙が銀時に気付き
「あ、銀さんおはようございます。早く着替えてくださいね。」
と声をかけた。

神楽はお弁当を持ち
「銀ちゃん遅いね!早く行くアルよ!」

銀時はめんどくさそうに
「あーわかったっての。そんなに急いでも墓場は逃げねぇっての。…それより新八から手紙とかねぇの?」

それを聞いた神楽は下をむいた。

「あ、えっと。きっとあっちでの仕事が忙しいのよ」
とお妙が答えた。



新八は5年前、突然遠くの星に出稼ぎに行った。と、お妙から伝えられた。

だが一度も帰ってこない。まして手紙の一通もない。


―なんで俺に一言も言わずに行ったんだ?俺って愛されてない?俺達自然消滅?―

なんて考える日々だ。

でも新八が出稼ぎから帰ってきたら、もう二度と行かせないようにする為、今は前より万事屋の仕事に力をいれている。


銀時は着替え、玄関にいる二人と合流し、一緒に墓参りに行くため万事屋を後した。





5年も経つと、少しは治安もよくなり、天人とも前より和解しはじめている。

「新八さ。あっちで寂しい思いしてねぇかな?」
銀時は歩きながら呟いた。

神楽はお妙の袖をぎゅっと掴んだ。
「そうねぇ。あっちで彼女がいたりしてね。」
と、お妙が上を向き、人差し指を頬にあてて言った。

「そしたら俺はその女を叩き潰す!」
と握り拳を作った。

「あらやだ。女の子に手をあげちゃだめですよ。私がネチネチと追い詰めるから平気よ」
と笑顔で言った。

「…新八は銀ちゃん一筋ね…浮き輪なんてしないヨ」
と少し泣きそうになっていた。

銀時は神楽の頭にポンっと手を置き
「おい神楽ぁ〜。それを言うなら浮気だろ。ほらもう墓場ついたぞ。新八の親に水かけてやれ〜」
と言ったら神楽はムッとした顔をして頭に乗った銀時の手を振りはらって、墓場に走って行ってしまった。

「なんなんですか?あの態度は。父さんにかかわりたくない思春期だからですか?それとも反抗期ですか?」
年ごろの女の子はわからないという顔をした。
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