短編小説
□チューインガム
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ソファーに背を預け、手を天井に向けてあげ、神楽は一枚のガムを眺めていた。
「何、食わねーの?」
銀時が横からパシッっとガムを取り、包み紙を開けて口に含んだ。
「あ゙ー!?銀ちゃんのバカ!死ね死ねそして泣き叫べぇぇー!」
銀時を半殺しにして万事屋を飛びだした。
台所から新八が顔を出し
「銀さん何したんですか!?」
虫が鳴くような弱々しい声で
「ガム取って食っただけですけど…」
そう言って銀時はガクッと力尽きた。
神楽が進む道、全ての人、物をぶっ飛ばしながらすごい早さで走っていく。
―銀ちゃんひどいヨ!あのガムは…―
立ち止まり
「あれは…「こんなところでなにしてるんでさぁ」
後ろから沖田の声が聞こえた。
「なんでも…ないヨ」
「なんか町で暴れてる奴がいるって聞いてやって来たら、やっぱりお前でさぁ。もう日が暮れちまうし「帰りたくないネ!」
沖田がしゃべり終わる前に神楽が叫んだ。
「…何かあったんですかぃ?」
「……」
神楽が向いてくれないので肩を掴んで引っ張った。
「ちゃんとこっち向いて…」
見たら神楽は泣いていた。
沖田からバッと離れてゴシゴシ拭いた。
「…怒鳴ってごめんアル」
神楽は微笑した。
沖田はそれが気に入らず神楽を抱きしめた。
「なっ、離すネ!」
「言うまで離しませんぜ」
「…銀ちゃんが私のお菓子食べちゃったアル」
―食い意地の張った女でさぁ―
と心の中で思った。
「それだけで泣いて「それだけ!私にとっては…」
―大切だったネ―
沖田の服を掴んだ。
「そんなにめずらしいお菓子だったんですかぃ?」
「…ガム」
「この辺にはないガムですかぃ?」
「…ソーゴから貰ったガムアル…」