長編小説

□ファーストキス
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深夜、寝静まった万事屋に酔っぱらった家主がガラガラ〜っとドアを開けた。

「たらいま〜ヒック」

居間にいた新八は帰って来た声が聞こえると銀時がいる玄関へドタドタと走って行った。
「銀さん!何回言えばいいんですか!?神楽ちゃんはとっくに寝たし銀さん帰って来ないから僕帰りたいのに帰れないんですよ!」
とガミガミ言った。

「うん、そうらね〜♪」
っとヘラヘラ言う。
 
―この主人は

何回言っても帰りが遅く

いつも酔っ払って帰ってくる―


そして酔うといつもニコニコしながら

「ヒック、新ちゃ〜ん」

「なんですか?お水ですか?」
はぁー、と溜め息をついて新八は怒る気が失せる。

「好きだぁー」

「はいはい寝ますよー」
と言い、新八は玄関に倒れてる銀時の首の襟を掴んで、ずるずる引きづりながら寝室へと運ぶ。

―これが日常―

布団の上に銀時を放り投げると、いい夢でも見ているのか、むにゃむにゃ言いながら幸せそうな顔をしている。

「ふー。重かった」

初めて銀さんが酔って帰ってきて
「好きだ」
と言った時はドキッっとしたけれど次の日、本人はケロッと忘れていた。


…それは少し僕は…


「…布団かけたら帰ろう…」
ボソッと言い、掛け布団に手をかけたその時
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