長編小説
□今だけは
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新八。
俺はお前に隠してることがあるんだ。それはお前に恋していることだ。
素直に言えって?
言えるわけねーだろ
年の差だってあるし俺は新八みたいに綺麗じゃねぇ。
俺たちは男同士で告白なんかしたら、お前気持ち悪くなったり引いたりして、俺に二度と会ってくれないだろ?
―新八がそばにいてくれなくなることが俺は一番恐いんだよ―
でもな、心の中に感情を貯めとくのは辛いんだ。
だから酔ったフリをして
「好きだ」
と言ってみたら、お前すっげー顔を真っ赤にして固まってたな。
俺はあの時、可愛いすぎて抱きしめたくなった。
…でもできなかったんだ。
もう一人の俺が
『お前だけが幸せになるなんて許さない』
と。
だから翌日忘れたフリもした。
お前は優しいから眠い目をこすりながら居間で俺の帰りを待っているんだろ?
俺が帰って玄関で寝ちまうから。
帰ってきたら怒りながら部屋までひっぱって行ってくれてさ。
だからありがとうを込めて告白をする。
新八は冗談として受けとめて聞いてくれている。
そんな日が続いて、それだけでも幸せなのに俺は…
―その先を望んでしまってる―