長編小説
□恋
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突然、寝呆けてキスをされたあの日から本人に気付かれないように体が避けている。
酔っ払って帰ってくれば、またキスされない様にマスクを着用し、銀さんを布団まで運ぶようになった。
…それを終えて家に帰ってくると涙が溢れてとまらない日々が続いた…
―銀さんを見るとドキドキして胸が苦しくなる。どうしたんだろう…―
ある日、銀時はブラブラと町を散歩をしていた。
銀時は新八が避けている事を知っていた。酔ってないのに酔ったフリをして帰り、あからさまに口をガードする為にマスクをしていたり、二人きりになると台所に逃げたり、買い物に走って出て行かれたら誰だってわかる。
―うわー避けられるの辛いな…―
そんなことをぼーっと考えていたら、真選組の土方と沖田にバッタリ会い、三人でファミレスに行った。
三人は別々のメニューを頼んだ。
銀時は苺パフェ。土方はもちろん土方スペシャル。沖田は無難にオレンジジュースを。
銀時は最近新八に避けられてる事を二人に話した。
「それ、お前」
と土方が言い、
「愛想つかされたんでさぁ」
と沖田が続けて言った。
その言葉を聞いて銀時はカラーンっとパフェのスプーンを落とした。
「大体お前が何かしたんだろ?」
と土方スペシャルを食べ始めた。
銀時は頭を両手でおさえて
「何かしたって……色々ありすぎてわからん!!」
と髪をくしゃくしゃにした
「それじゃぁ自業自得でさぁ。それか給料とか恋の悩みとかじゃねぇですかぃ?」
と沖田はジュースを一気に飲みほした。
銀時はムクッと立ち上がり
「…俺、帰るわ。」
と店をフラフラしながら出ていった。
土方は頬についたマヨを手で拭い、沖田に
「あいつ相当重症だな。」
と言い
「そーですかい?そうには見えませんでしたぜ」
と答えた。
土方は重症とわかる物を顎で「ん」っと指した。
それは一口も食べていない苺パフェだった。
それを見た沖田が
「…本当でさぁ。しかもダンナ金払わなかったですぜ。ゴチになります。土方さん。」
「…しゃーねーな。今回だけだ。」
と言いタバコを口に加えた。
「じゃあ追加をー」
と沖田がメニューを開いた。
「…総悟てめぇ…」