長編小説

□その言葉を信じない
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退の風邪は一日ぐっすり眠ったら翌日にはすっかり治っていた。


「ゴホッゴホ」

土方が高熱を出して部屋で寝ていると隣で沖田が言った。
「土方さんは馬鹿でさぁ」

バズーカ砲を向けながら
「風邪が移るということはいやらしいことでも山崎にしたんですかい?」

「うるせー。お前は仕事に行け。少し寝かせろ。」
寝返りをうった。

「今、永遠の眠りにつかせるでさぁ。何、痛くないと思いますぜっ!」
いきなり撃ってきた。

「うぉい!」
体は重たいが、なんとかよけた。

「ちっ」

「お前っ、今小さい声で『ちっ』て言っただろ!」

そんなのを無視して
「じゃあ俺は今日一日副長してきやす」
とスタスタ部屋を出て行ってしまった。

「ゴホッったく、なんなんだよ。」

布団はまる焦げにされた為、畳の上に倒れこんだ。

―…やっぱ予想はしてたが迷惑だったか…―

俺は体だけでもいいからと、お前をずっと感じていたかった。
嫌いだなんて嘘なんだ。
でもそんなこと
「…言えるか」
ボソッと言って消えた。

「好きだ」って言った時に無理矢理キスしようとしたらビンタをされた。
嫌だって事だろ?

でも手放したくなかったから卑怯な手を使って俺の物にした。

それでいいと思ってた。
お前の気持ちなんて考えてなかった。

―でも―

―離したくなかった。触れたい―

「さが…る」
そう呟いて眠った。



沖田が皆に副長は風邪でダウンしたから今日は俺の指示に従えと命令した。

「副長が風邪…」

―どうしよう俺のせいだ。昨日のキスで移ってしまったんだ…―

シュンとしてたが風邪をひかせたのは自分だから何か買って仕事が終わったら介抱しようと決め、スーパーに足をむけた。
 
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