長編小説
□Thought
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時間は昨晩にさかのぼる。
新八が家に帰る前の話。
「山崎さんは失恋したと言ってましたけど、土方さんに告白はしたと思いますか?」
新八が銀時に聞いた。
「失恋したってんだからそうじゃねぇか?」
少し考えて
「うーん…明日、土方さんに聞いてみませんか?」
「は?」
「そんな簡単に次の恋をするなんて銀さんは…出来ますか?」
「……って俺もう次の恋とかしないんですけど」
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「姉上が言ってたことがなんだか間違っていると思うから」
と、新八に言われて翌日の今、屯所の中の客間に俺たちは座っている。
「で、何の用だ?」
向かいにあぐらをかいて座っている土方が不機嫌そうに言った。
「煎餅くらいだせヨ」
「もう、神楽ちゃん!あの、すいません。」
新八が謝る。
「話ってーのはなぁ、お前んところのジミーの事だ」
銀時が内容を話はじめた。
「ジミー?誰だそいつ」
「ジミーじゃないヨ。ザキアル」
新八が二人につっこんだ
「銀さん、ジミーじゃないです。神楽ちゃんは惜しい!山崎さんですよ。」
山崎という言葉を聞いて土方はピクリと反応した。
「山崎に何かあったのか?」
「えぇ。今うちに泊まり込み中なんですよ。どうやら姉上のことを近藤さんに伝えないといけないらしいんで…」
新八は退が今、何をしているかをすべて話した。
「…それだけの為に山崎はいねぇのか。…ま、いいんじゃねぇか?俺には関係ねーしな。」
くわえていた煙草に火を点けフーと口から白い煙を吐いた。
「ほら関係ねーって帰ろうぜ」
銀時が立ち上がった。
「そうネ。ジミーを叩き起こして早く恋人作らせるアル」
神楽も嬉しそうに立ち上がった。
土方は"恋人"と聞きゲホゲホとむせてしまった。
「何の話だ!恋人?探す!誰に!?」
明らかに動揺している土方を見て
「山崎さんが新しい恋がしたいらしいんです。あなたに失恋したからと言ってましたよ。…知らないんですか?」
「は?知らねーよ。あいつは…」
―俺のことを好きなわけない―
「お前に恋人がいる。って言ってたぞ」
銀時がめんどくさそうに言った。
「いねぇよ。誰だ?嘘、言った奴は」