素敵頂き物(小説)
□魂の鎮魂歌様・キリリク6000
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(面倒くさいなぁ…)
そんなことを思いつつ、銀魂高校3年Z組の生徒である山崎退は夜道を歩いていた。
今日は両親とも不在で、夕飯を作るにも一人分はかえって面倒、ということで近くのコンビニで夕飯を買うことにしたのだ。
「山崎…?」
コンビニ前の曲がり門で不意に後ろから呼び止められた。振り返ればスクーターに乗ったクラスの担任である坂田銀八で、身に付けたゴーグルを頭にあげながら話しかけて来た。
「先生じゃないですか。どうしたんですか?」
「そりゃこっちの台詞でしょ。山崎こそ何してるの?今の御時世夜の一人歩きは危ないよ〜」
どうやら山崎を心配して声をかけてきたようだ。
この銀八という教師はいつも死んだ魚のような目をして何を考えているのかサッパリ分からないだらしない教師で有名だが、生徒からは人気のある先生だった。山崎自身、銀八の事は好きだし、尊敬もしている。
「夕飯買いに来たんですよ。今日両親いないしコンビニで何が買おうかと…」
「なるほどね…」
正直に理由を言えば銀八はふぅんと言いながら何やら考え事をしているようだった。不思議に思って銀八を眺めていると銀八はポンと手を叩くと山崎に言った。
「だったらさ、先生ん家でなんか作ってよ。山崎料理上手だし。丁度材料買った帰りなんだよね」
スクーターのハンドルを見れば、スーパーで買ったであろう食材がビニール袋に入ってさがっているのが目に入った。
「いや…でも…」
「鍋食べたいなぁ俺」
にっこりと笑う銀八は山崎に拒否権を与えてはくれなかった。
山崎退、半強制的に銀八先生のお夕飯を作ることになってしまいました。
〜夜明け前、君と初めての〜