飲ませないで!!

□飲ませないで!!-遥-
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仕事が終わってから私は理沙さんとは珍しく一緒には帰らないで駅で別れて一人で自宅とは違う駅に向かっていた
駅から出てあんまり知らない道を地図片手に一人で歩いている
結構挙動不審だと自分でも思うくらいにキョロキョロしながら歩いていた。だって知らない道で迷ったら嫌だから

地図というかスマートフォンのGPSのマップで歩いてるからあんまり間違えはしないだろうけどやっぱ不安
辿り着けなくて電話して道とか聞きたくないし。26歳にもなってって笑われそうで

「あ、ここかな」

一人で挙動不審気味に歩いていたらマップ上でいつの間にか目的地に到着していた
目の間にはマンション。外見は綺麗で管理もしっかりされていそうだった
周りも落ち着いた住宅街だからうるさくないし、きっと住むにはいいと思った

私は携帯をしまって見上げていたマンションに入っていった
自動ドアを抜けてエレベーターに乗って目的の階へと向かおうとしていた
そして少しづつエレベーターの扉が閉まろうとする

「すいません」

扉が少ししまりかけた瞬間扉に手が触れた、だから私は慌てて開くのボタンを押して閉まりかけの扉を開く

「ありがとうございます」

軽い会釈と共に女の人が乗ってきた
乗ってきた時に目があって私も少し会釈
そして目が合った瞬間綺麗な人だなって思った

長い髪は綺麗に巻かれていて色はきっと暖色系の茶色
肌も綺麗でメイクもしっかりきまっていた
そして目も大きくてまつ毛も長くて服も出来る女みたいな感じ
そう簡単に言うなら理沙さんと同じで肉食系な雰囲気満載な人だった。でもちょっと気だるそう

私に操れない男はいないわっ!!って感じ?失礼かもしれないけど

そう思いながら扉が閉まっていく。閉まって密室になった
しばしの沈黙ののち目的の階に到着して私が降りたら一緒に乗っていた女の人も降りていた
ここの階に住んでる人なのかーってぼんやりと思った。近所にこんな美人さんがいたらきっとアイツは喜ぶんだろうなーなんてふと思う

目的の部屋えと、てくてくと足を進めていると後ろから足音
さっきの女の人方向まで同じだったのかと思った

「ちょっと」

声と共に腕を掴まれた
驚いて振り向くとさっきの女の人が不機嫌そうな顔で私のことを見ていた
そしてその女の人が私の腕を掴んだまま、マンションの一室の鍵を開けてドアを開いていた

「来なさいよ」

「え、あ、えっ!?」

お、驚く
っていうか拉致!?え!?どうして!?いやいや待って!!私殺される!?
そう思って慌てていたら何かずりずり引きづられて、その一室に連れ込まれてドアを閉められてしまった

そして女の人がすっごく腕を引いてくるから部屋に入るしかなくて、でも土足では気が引けたから私は一応脱いで入っていた
入りながら私の26年間の人生よさようなら、理沙さんごめんなさい今日一緒に帰っておけばよかったです
と心の中で泣きながら、びくびくしながら連れられるままリビングに足を踏み入れていた

「無視するとか何のつもり?」

女の人は私の腕を離して私と向き合うと、少し呆れたように私のことを見ていた
荷物を適当に床に置いてから手を私の方に向かって伸ばしている

「しかも髪切ってるし、黒く染めたの?」

「え?」

女の人の手が私の髪に触れてそっと触っている
でも待って、何かこの人私の知り合い?何だか私のこと知ってるみたいな言葉じゃない?

「でも似合ってるかな。少しは落ち着いて見えるかもね」

「え、あ、の」

そう言って女の人はふっと微笑んだ
綺麗に笑うなって思ったけど、私はこの状況をうまく飲み込めていない
私はこの人のこと全然わからないけど、でもこの人は私のこと知ってるみたいだし

いやでも微妙に私と会わない点がある
私はずっと髪短いし、色も地毛のまま変えたことはない
つまり黒く染めたのって言葉は私には当てはまらない
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