飲ませないで!!

□飲ませないで!!‐遥‐
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「坂下(さかした)!!」

怒鳴り声のように大きな声に私、坂下 遥 (さかした はるか)26歳社会人はびくつきながら
声の方向に振り返った

振り返るとそれはそれは綺麗な女性が立っていた
茶色い長い髪はゆるく巻かれていてハーフアップされている
そして白黒のストライプのスカートに黒いネクタイつきシャツをインしているすらっとしてスタイルがよくて
化粧もばっちり決まってて、女子力が半端なさそうで非常に肉食な三十路女子

内藤 理沙(ないとう りさ)主任がいた

「しゅ、主任ーな、何ですかぁ?」

びくびくしながら主任に向き合うと主任はがしっと私の肩を掴んできた
そしてかなり近づいてくる

「今日暇よね」

笑顔で聞かれる
でも、初めから私が暇だって決め付けてるのはどうして!?
私今日は家に帰ってゆっくりぐっすり眠りたいのっっ

「え、あ、その、私今日――」

「ひ・ま・よ・ね?」

反論を許さない主任
だから私は半泣きではいーと答えていた
そうしたら主任はものすっごい綺麗な笑顔でよしと言った

「飲みに行くわよ坂下」

「しゅ、主任、あのその昨日も一昨日もその前も、その前の前の前も連日……」

「い・く・わ・よ坂下っ!!」

「は、はいっ」

主任の強制イベントに見事毎回連行される私
そして今日はもう仕事が終わっていたから、主任にそのまま手を繋がれてしまい
私はそのままいつもよく行っている個室で別れているタイプの飲み屋に連れ込まれていた

つくと主任はじゃんじゃんお酒を頼み、どんどん飲む。いつもの光景
そして私は主任にお酒を強制的に飲まされる
でも、私はお酒をあんまり大量に飲みたくないの本当は

だって、私、その飲みすぎると記憶もなくなっていることが多いし。いつもじゃないけど比較的なくなる
でも二日酔いにはならない、だけど酷く飲んだ次の日私は大体ものすっごい後悔するから
なぜって、口にするのも恥ずかしいんだけど飲んだ後だいたい知らない女の子が裸で隣にいるから
しかも何にも覚えていない。最低

でも、そんな私の気持ちなんてお構いなしで部長はどんどん私にお酒を飲ませる
飲ませて、飲ませて、いつの間にか主任自身は飲んでいないのはなぜ?

「しゅ、主任ーなんで私にばっかり飲ませるんですかー?」

「酔ってるときの坂下が好きだから」

はい?
私の酔いが回ってきたのか主任の言葉がいまいち理解できない
私が脳内でハテナマークを飛ばしていると主任が私の膝の上にいきなり座ってきた

そしてツツツと指で顔を触られている

「本当もったいないわよね。坂下って」

「何が、です?」

状況が理解できなくて、でもどうすることもできなくて
私はじっと主任を見ていた

「凄く綺麗な顔しているくせに普段は気弱でおどおどしてて、はっきり自分の意思も表せない小心者」

そう言いながら主任は私の短めの黒髪を触っている
長めの前髪を手で避けられ顔を出されてしまう

「無駄にしてるわ。もう少しはっきりしていたらあんたきっとモテてるのに」

「で、でも自分は男性うけする顔じゃ」

私は主任みたいに女性っぽくない
昔から男子に見間違われることが多々あったし

「別に好意を寄せられるのに性別は関係ないわよ?」

気が強けりゃ同性受けはいいかもね何て主任は言った

「でも坂下は男っぽい訳じゃないわよ。中性的よね」

そして主任は日本酒が入っているコップを手に持って私の口に強制的に流し込む
ってか、く、苦しい
私は苦しみながらそれを飲み干し、でも口の横から日本酒がこぼれてしまっていた
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