飲ませないで!!

□飲ませないで!!‐遥‐
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主任に嘘をついてしまった
具合は悪いけど(精神的な問題で)でも、きっとこの空間から逃げられたらすぐによくなったのに
でも私は杏奈さんから放たれる威圧に負けてしまった

私がリビングで主任に本当のことを言おうとしたら、おでこに手を当てられて至近距離で睨まれた
言ったらあとで酒飲ますと背後に出ていた
部屋に主任といたときにかかってきた電話も、わかってるよね?っていう一言だけだし
もしあそこで主任に本当のこと言っていたら飲まされて杏奈さんに手を出しちゃうんだきっと
既成事実が作られて主任と別れなくちゃいけなくなるんだ……きっと
杏奈さんなら絶対にやる。いや、やらなければ杏奈さんじゃない

怖い。どうしよう。どうすればいい?
いっちゃ何だが私の立場は一番弱い。力関係とか全くつりあってない
そして心配は主任と杏奈さんの関係
今後いったいどうなってしまうのか全く私にはわからない

杏奈さんが主任に何かをする?いやでも親戚同士だし、そこまで酷いことには……なるな、うん
杏奈さんも欲しいものは欲しいとはっきりとしている
きっと遠慮なんてしないはず。どんな罠をしかけているのかわからない

でも主任だって強い
杏奈さんに何かをやられても倍にしてやりかえすくらい強いから
いやでも主任は意外なところで優しいからっ油断しちゃうかもしれない

杏奈さんは裏で動くような人だけど、主任ってば正面突端な人だからっ
もしかしたら主任、出し抜かれちゃうかもしれない
私がしっかりしないと……ああでも主任で太刀打ちできない人が私に倒せるはずも無い。悲しいけどそのくらい理解してる

どうしよう、どうしようと頭を抱えて主任のベットの中で体を縮こませた

「ハル。仮病の具合はどう?」

主任の部屋に女性の声
その声に私は驚いて身を硬くしてしまった

でも私のことなんてお構いなしな感じでベットがきしんだ
きしんで布団を思いっきり剥がされ、体が出る
出た瞬間すぐに馬乗りされる。乗られて上から見下ろされてる

私の眼前にある笑顔
そうだ、これはあれだ氷の微笑とでも言おうか
精根尽きるまで遊ばれて終わるんだ

「ど、どうして杏奈さんが?あの主任は」

「買い物。ハルのために何か作ってくれるみたい。愛されてるね?」

私に馬乗りしている杏奈さんの手が私の顔に伸びてきて頬を触られる
その手つきはゆっくりとしていて、何かを確かめるかのよう

「それでね理沙から頼まれごと」

触れていた手が離れて面前でぺりっと小さい長方形の湿布のようなもののシートがはがされ
そして私の額にそれが近づいてきて、ぴとっと貼られた。ひんやりとしている
ああ、熱を冷ますシートかなんて思う

「これ貼っておいてだって。嘘なのにね」

クスクスと笑う杏奈さん
その笑顔が黒すぎて恐怖を感じ体にもっと力がはいってしまう

「理沙からの公認なんだからね?私がここにいるの」

まあでも、その前にゼリーもっていってあげるねって私が言ったんだけど
と言い再び私の頬に手が伸びてきた。ゆっくりと撫でられると背筋がゾワゾワした
簡単に表現するとかなり恐怖している

だってもうすでに主任出し抜かれてるっ!!

どうしよう、どうしよう初日にしてもう出し抜かれるなんて想定外だっ!!
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