番外

□フェイク/フェイス
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深雪と付き合い始め、大学も深雪と一緒になった
幼いころからの深雪のスパルタ指導のおかげで私の学力はそんなに悪いものじゃなくなっていた
私はもともと勉強は苦手で、運動が好きな典型的なおバカな子供だったし
それを見かねたお母さんが深雪にうちの子に勉強を教えてちょうだいと冗談半分で深雪に頼んだところから
大学生になった今日まで深雪のスパルタ指導は続いていた
おかげで赤点とは遠い人生を送らせてもらえている

本当に深雪には頭が上がらない
いやむしろ敵わない。頭も口も全般的に
でも唯一敵うとしたら運動くらいかなーうーむ勝てるもの少ないなぁ
何かないかな……とかって思うけど全然見つからなかった

「何変な顔してるの?」

私が深雪に何かで勝てないかと考えていたら私の隣に座っている深雪がじっと私のことを見ていた
私と深雪は今電車に乗って移動している。でも車内には人も少なく電車が動く音が響いていた
今日は明野んところに遊びに行くって私が約束してて、それを深雪に話したら私も行くと言ったから一緒に来ていた
明野も来い来いと快諾したしまあいいかーみたいな。それに深雪と明野友達だし
んーでも私今日は明野にちょっと聞きたいことがあったんだよねーまあ深雪がいても大丈夫か

「考え事ー何かもう深雪に勝てるものがなくて」

「何それ?」

「小さきときから深雪にはお世話になってるなってー口も頭も敵わないからさ。何かないかなって勝てるもの」

「そんなもの探してどうするの?」

「別にどうもしないけどさーふと思ったのよ」

そうと興味なさげな返事が聞こえてきてから少しして目的地についていた
だから私と深雪は荷物を手に持ち電車から降り、明野が今住んでいる家に二人で向かっていった
確か今明野は中原さんと一緒に住んでるとかで何で中原さん?って思って明野に聞いたら付き合ってるからと普通に返事が返っていた
へーそっか。とかって思った
明野から誰が好きだとかって話あんまり聞いたこともなかったし
私も明野もそういう恋愛ごとに無頓着な方だったから、明野に恋人ができて何か安心したー
しかも中原さんって言ったら相当人気があった人
むしろどんな経緯で明野と中原さん繋がってんの?みたいな
だって高校のとき二人がつるんでるの何て見たことない気がした
いつか明野に聞いてみるかーなんて思いながら歩いていたら明野の家に到着していた

深雪がインターフォンを押して少しするとドアがガチャリと開いて中から明野が出てきた

「久しぶりだな深雪に千尋も」

ちょこちょこ遊んではいるけど高校の時みたいにほぼ毎日顔を合わせている訳ではないから少し久しぶり感はある
でも外見的に何かが劇的に変わってるわけでもないから真新しさもない

「久しぶりー」
「明野ちゃん元気だった?」

元気元気なんて言いながら中に招かれて私と深雪は中に入っていった
靴を脱ぎ室内に進むとリビングには中原さんが居てこちらを見ていた
優しそうな目というかちょっと口角が上がってる顔つき綺麗
見とれてたら深雪につねられた
すまん深雪。ついついね?ついついなんだよ。だって綺麗なものって何か見ちゃうじゃんか
でも好きなのは深雪だけだし見るくらい許しておくれって言い訳をしたところで後で怒られるんだろうな
私だって深雪が美人さんとかに見とれてたら少しは妬くし?いやむしろ深雪が誰かに見とれるとかって見たことないなってふと思った

「こんにちは進藤さん、荒木(あらき)さん」

「久しぶり中原さん」

「こんちはーっていうかいつ見てもキレイだねー」

「会った瞬間口説き文句?あとで話し合おうね千尋」

「こわっちょー目が笑ってない」

「唯、気にしないでいいから。座ってろよ」

明野が呆れたように私と深雪を見てから苦笑している中原さんの横に移動していた
そして中原さんはうんと返事をしてカーペットの上のクッションのところに座った

「適当にお前らも座れ」

と明野は言ってどこかに移動してしまった
だから私と深雪は中原さんの前に移動して小さめの長方形のテーブルを挟んで向かい合っていた
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