フェイク/フェイス

□フェイク/フェイス
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私の兄貴には彼氏がいる
男同士だが付き合っている

しかも兄貴の彼氏は私の同級生で長い間の腐れ縁的な感じの子供の時からの友達

こいつは昔から馬鹿で馬鹿で馬鹿で…馬鹿だけど凄く良いやつ

昔から兄貴のこと凄く慕ってたから二人が付き合っているって聞いたときは、そりゃあ驚きはしたが

ああ。まあ二人ならありかなってくらいの認識だった

兄貴は恥ずかしそうにしていたが、その顔は幸せそうで、そんな兄貴の顔を見たら大切にされてんだなぁと思って少し羨ましくもあった



大変なこともいっぱいあるだろうけど上手くやっていってくれたらなって思っている

兄貴は大学1年だけど私と馬鹿な幼馴染、修司(しゅうじ)は高校3年生

修司とは同じクラスだから毎日毎日嫌ってくらいにのろけられている

マジ勘弁

なんで学校まで来てこいつらの、のろけなんて聞かなきゃならんの

今現在昼休み

私の前にはパンをがつがつ食っている奴がいた

「で?あんた毎回毎回私の机で昼飯食うの止めてくんない?」

私はあからさまに嫌な顔をしてやった

「だってお前顔だけは明(あき)に似てんだもん。なんつうの?場しのぎ的な感じ?」

「んだとテメー私は兄貴の代わりか」

時間もなくなりそうだから私もお弁当を広げた
こいつと一緒に食うのはしゃくだが仕方ない

「代わりじゃねーつか明の代わりが務まる奴なんていないね」

「さりげなくのろけてんじゃねーよ」

「良いじゃん。明の魅力は語りつくせないからな昼休み返上でお前に語らないといけないんだよ」

「マジ勘弁」

思いっきり顔をしかめた
でもこいつは馬鹿だから、そんな顔したって何の効果もない

何で兄貴はこいつなんかを好きになったのだろうか?

妹の私がいうのもなんだが兄貴の顔は標準以上だと思う
まあそれは目の前のこいつもだが

兄貴はそれほど男男した感じではないが、性格はしっかりしているし気遣い上手だし
運動もできるし頭も良い

それなのに選んだのはこいつ?

いったいぜんたい兄貴達に何があったというのだろうか?

まあ確かに修司は馬鹿だが良い奴だし兄貴思いだし、顔だって良い
こいつは馬鹿だが運動ができる
だから女子からは結構な人気があったりもする

でもこいつが付き合っているのは私の兄貴

なにがどうなって、そうなったのか

気にはなるが絶対聞かない
後が面倒そうだから

「ああそーいや俺とお前実は付き合ってるんじゃないの説がさりげなくながれてたぞ」

「ゴフッツ」

食べていた米が器官に入った
思い切りペットボトルのお茶を飲む

「…まじで?」

「おう。全く勘弁してほしいよな」

「…それには激しく同意するわ」

「ここはやっぱり俺と明の中睦まじげな写真を」

「それは止めろ馬鹿が!!」

思いっきり修司の頭を叩いてやった
バチンと良い音がした

「いてー何だよいきなり」

「それはお前が馬鹿だからだ馬鹿が!!」

「いいアイディアだと思ったんだけどな」

「どこが良いアイディアだ」

「じゃあどうするよ?」

「放っておけば?そのうちなくなるし、私と修司は付き合ってなんかいないんだから」

「それもそうだなー」

私はそこで会話をやめてご飯を食べ始めた
はあ面倒くさいな噂って
どうしてこう事実でもないことばかりが噂されんだかって思った
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