フェイク/フェイス

□フェイク/フェイス
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唯の家から戻って自宅に帰ってきた私は自宅のリビングにあるソファーにぼーっと座っていた
お母さんは出かけているみたいで家には居なかった
今の時間居るとしたら兄貴くらいだけど、人の気配がしないからどこか出かけてるんだろう

「はあ」

溜息をついて右手で自分の唇を触ってみた

また唯とキスをしてしまったこの唇が変な感じだった
本当はもうそんなことはするつもりなんてこれっぽっちもなかったのにさっきは自分からしていた

「どうしてあんなこと」

唯と私は本当の恋人なんかじゃない
恋人じゃないのにキスなんてことしてしまうなんて

「私…どうして」

あんなこと自ら進んでしてしまったんだ
期間限定なのに、本当の恋人じゃないのに
あんなことしちゃいけないよな

深呼吸して両手で顔を覆ってソファーに体を倒した
何かもうぐてーって感じ

唯に嘘つかれていたこと知ったくらいであんな変な気分になったり
唯が泣いているのを見て、泣きやましたくてキスしたり

何かもう自分がよくわかんない

偽りの関係のくせに
唯が好きなのは兄貴だって初めから知っていたはずなのに
この関係が夏休だけの関係だってわかってることなのに

「まさか…ね」

そんなことない
そんなはずない

唯のこと好きだ何てそんなこと

あるわけがないんだと何か自分に言い聞かせてる
っていうか言い聞かせてる時点で駄目か

言い聞かせてるんだからもうすでに意識してんだろうし

「そんな馬鹿なっ」

グオーって頭を抱えてソファーの上でジタバタとしてみる
いやいやどうしてこんなことに!?

冷静になれ明野

唯のことが好きとかだだの錯覚だ。きっとそうだ

だって冷静になって考えてみて
奴に惚れる要素なんてあるもんか

学年主席
元生徒会副会長
料理が得意
(黙ってれば)美人
(変に)積極的
(落ち込むと)ただのいい子
(微妙に)一途
(普通時は)優しい

笑うと可愛い

…うん。私より揃ってるね惚れる要素

改めて考えてみると別に好きになっていたっておかしくはないんじゃないかと思ってしまった
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