反対な彼女02

□反対な彼女‐未来‐
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あれからホテルに到着した私は気分転換するために即行でお風呂に入り
部屋着に着替えて部屋に置いてあったソファーに寝転がった
ソファーのふちに頭を乗せて、足を組んで寝る

その体勢で寝てからどのくらいの間ボーッとしていたのかわからないけど沙織さんは未だに帰ってはこなかった

「沙耶と何してるんだろう」

ぼーっと天井を見ながら一人つぶやいた

やっぱり気になる、帰ってきてからこのこととアンジーに言われたことばっかり考えていた
でも考えたって何も答えが見つからない

「第一にまず私はアンジーに何を言ったっけな」

だから一番最初に戻ることにした
今のことが分からないなら、少し戻って考えてみるのも悪くはない手だ
急がば回れとは今の私にもしかしたらぴったりな言葉なのではなかろうか?

まず最初に何を言ったっけ?
あの時は大分頭に血が上っていたから思ったことバシバシ言ってただけだし

最初何を言われて訳がわからなくなってたんだっけな

「確か」

私は目を閉じてあのときの場面をよーく思い出してみた
えーっと確か私が、説明を求めてアンジーに見たままよと言われてから訳がわからなくなって

私が見たままで判断していいのかと言ったら、かまわないと言われて何かイライラして
沙織さんとアンジーが浮気していると思ってアンジーを怒って

沙耶と桜さんに楓ちゃんの真相を聞いていないからこんなことになるんだと思って

“アンジーだけがみた事実は実際のものから程遠いものだと何で思わないの?”

って言った

ん?なんだろう。ちょっと引っかかる
アンジーが見た事実は確かに間違ってはいない、ただ真相を知らなかっただけ
だからもちろんアンジーが思っているものとは事実が遠いものでもアンジーにそれを知る術はないということで…

お酒に弱い沙織さん
お酒に強いアンジー

記憶が飛ぶ沙織さん
記憶が飛ばないアンジー

青い顔で慌てていた沙織さん
平然と悪びれもしていなかったアンジー

勘が鋭いアンジー
勘が鈍い私

昨日の今日でもう落ち着いて私に助言するアンジー
昨日の今日でもまるで落ち着かない私

ちょっと自分に置き換えてみる

未来だけがみた事実は実際のものから程遠いものだと何で思わないの?

はっ!とした
そして思い切りソファーから体を起こしていた

「やられたっ!!どうして嘘なんてつくんだ!」

アンジーが嘘をついていると仮定するならアンジーの随分と余裕な態度も
沙織さんが何も弁解しなかった訳も理解できる

何もしていないからアンジーは普段と同じで
でも沙織さんは何も覚えていないから勿論何かあってもなくっても説明なんてできない

だからアンジーが嘘をつけば勿論私も沙織さんも勘違いをする
私は沙織さんがアンジーと浮気していると思い込み
沙織さんはアンジーの浮気相手になってしまったと思い込む

「だとしたらどうしてアンジーは私に嘘なんて?」

1つ問題が解決しても違う問題が出てきた

そんなことしてアンジーに何のメリットがあるのか分からない
だって絶対私とは喧嘩をするし、もしかしたら沙耶とだって別れることになるかもしれないのに
そんなリスクを負ってアンジーはいったい何がしたかったわけ?

「わからない」

私は自分のこめかみを押さえた
あーなんか考えすぎて知恵熱が出そう

でも頭は痛くても、物凄くほっとしている自分が居た
今まであったイライラが物凄い勢いで薄れていくのが分かる

沙耶が裏切られてなかったから安心した?ううん沙耶は関係ないんだろうアンジーにも言われたし

これはきっと私自身が安心しているだけ
でもどうして私安心してるの?

私と沙織さんは上司と部下それだけの関係
でも確かに私は沙織さんのことが気になっている、でも沙織さんからしたら私はただの部下
それ以上でもそれ以下でもないだろう

今まで通りだろうと思っていた、でもこれからも私はそう思うことができるのだろうか?

沙織さんが私じゃない違う誰かと付き合い始めたら?
その時私はいったい何を思うんだろうか…

「私は…どうしたい?」

もう一回ソファーに倒れ、今度は体を横にしていた
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