反対な彼女02

□反対な彼女‐未来‐
1ページ/5ページ

沙織さんの部屋から戻ると和さんがソファーに座りながら何かを読んでいた
大きさ的には文庫本くらいの大きさのものだった

私が中に入っていくと和さんはそこから視線を外して私の方に向けていた

「和さん寝てないと駄目じゃないですか」

私は和さんの横まで行き立ち止まった
でも和さんはどこか不満そうに私を見上げていた

「さっきは私のこと置いていけないって言ったのに」

和さんは文庫本にしおりを挟んでテーブルに置いていた

「未来さんの嘘つき」

「でもさっきは行ってもいいって」

困った。どうやら和さんはご機嫌斜めの様子
しかもその理由は私が和さんを置いて一人で出かけてしまったからのようだし
でも出て行く前に理由と場所は伝えていたのに駄目だったのか?

「…そうだけど、でも」

和さんは私から顔を逸らして下に視線を落とし黙ってしまった

「でも?」

「でも嫌だったの。置いていかないって言ったのに置いていかれるの」

「じゃあどうして許可したんです?」

「わがままばっかりは言えないでしょう?」

でも今言ったら意味ないねと和さんは言って立ち上がった
そしてぎこちない笑顔を私に向ける

「休むね」

和さんはすっと私の横を通ってベットルームのドアの方に移動していた
だから私もその後に続いて移動する

ドアを開けて和さんは中に入っていた、だから私も中に入ってからドアを閉めた
すると和さんはベットに座りながら私のことを見ていて少し沈み気味に眉を下げていた

「どうして後ついてきたの」

「どうしてでしょうね。嫌なら向こう行きますけど」

ついてきたのは和さんのことが気になったから
どうしてそんなに私がいなかっただけで様子が変なのか気になっただけか
他にも理由があるのか、自分でもよく分かっていない

あーいや駄目だ考えなきゃ…またわからないじゃ進歩しない

「私が行ってっていったら行くの?簡単に行っちゃうの?」

「行くかもしれません」

私は一回目を閉じた
そして考えてみる
多分行ってと言われたら行くかもしれないそう思ったのは本当
でもどうだうだろう今この場では“行かない方がいいと”感じている
どうしてそう感じるのか?そこが理解できていない

目を開けて和さんを確認した
でも和さんの表情はさっきより暗くて今にも泣き出しそうなくらいの雰囲気だった

「でも今は行けと言われても行きませんけど」

私は和さんの前まで移動して床に膝をついて座り和さんの顔をまじかで見た

「本当?」

伺うように私を見ている
行くかもしれないと言ったのはどうやら失敗のようだった
何でも素直に言うことを聞けばいいものでもないんだなと学習した

「ええ。でも和さんはどうなんです?私にここに居て欲しいですか?それとも」

「どこにも行かないで」

和さんは勢いよく床に膝立ちしていた私に抱きついてきた
いきなりのことで驚いたけど、その体をしっかりと抱きとめていた

そんなに一人で居るのが寂しかったのだろうか?あーでも風邪のときは弱ってるから
一人だと心細くなるかもしれない
何だか一人にさせてしまって申し訳ないと思ったのだった
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ