反対な彼女02

□反対な彼女‐和‐
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未来さんが真剣な顔をして指輪を見ている姿を見たとき悲しくて気持を吐き出さないとどうにかなりそうだった

会計を済まして私の方に振り返った未来さんは凄く驚いた顔をしていてその表情すら今の私からしたら嫌だった
置いていったってことは私を連れて行くことが嫌だったってことでしょう?

つまり未来さんは私より…松永さんを選んだということ

それが嫌だった
だから私は感情に任せて未来さんにあたって強引にキスをしていた
そしてそのままの勢いで告白もしてた

言わないとどうにかなりそうだったから…その先にあることなんて何も考えていなかった

今未来さんは私の目の前で狼狽している
あからさまに戸惑ってて、それを見ているのが辛いから私は目を逸らしていた

「帰る」

私は未来さんを置いてその場から離れていた
でも、私を追いかけてきてくれたらいいのにと自分勝手にそう願う
もし追いかけてきてくれたら少しは落ち着けるかもしれないから
少しは私にも望みがあるかもしれないと思うことができるから

でも一方では来てほしくないとも思う
もう未来さんの気持が松永さん一人に向いていたとしたら優しくされるのが辛くなる
望みがないのに優しくされたくない

譲れないし諦めたくない

今だってそう思っている
でも結局のところどちらがいいのか決めるのは未来さんだから
私一人の気持だけじゃどうにもならない

「待って!」

優しい未来さんはやっぱり私を追いかけてきてくれた
でもその優しさは時に残酷だと思う
気持がないのに優しくされることの辛さなんてきっと分かっていない

でも…きっと私はあなたのそんなところも好きだから
やっぱり来てくれたことの嬉しさの方が勝ってしまう

未来さんは私の手を掴んで私の足を止めていた
でも私は振り返らない
だってこんな泣き顔見られたくないから

「離して」

本当は離さないでほしい

「でも」

困惑したような声
きっと迷ってるんだろうなって思った

「でも何?」

でも今はいつものように言葉をかけてはあげられなかった
どうしてもきつい口調になってしまう

「一人で帰すわけには」

「どうして?」

「だって」

「だって何なの?私が泣いてるから?だから一人で帰せないの?」

未来さんは黙ってしまった

「心配しないで一人で帰れるから。子供じゃないんだし」

もう駄目どんどん未来さんにあたってしまう
自分が抑えられない、こんなこと言いたくないのに

「…わかりました」

未来さんは私から手を離していた
自分でそう望んだことなのに私の目からもっと涙が流れてしまう
私に言われたからじゃなくて、私の意に反してでも捕まえていてほしい

もう嫌…こんな矛盾だらけの気持なんて

「無理矢理にでも連れて帰ります」

未来さんは手じゃなくて今度は腕を掴んで足を進めていた
手よりも腕の方が拘束力があるから私は引っ張られながら足を進めるしかなかった

「離してっ」

「嫌だと言ったらどうします?」

感情的な私とは反対で未来さんは落ち着きを取り戻していた

「どうして嫌なの?いいじゃない未来さんには松永さんがいる!!」

自分でそう言って辛くなった
自分からそんなこと言いたくなんてないのに

「…ごめんなさい。私の不用意な行動で嫌な思いをさせてしまって」

そう言って私の方に顔を向けた未来さんの表情はとても辛そうなものだった

「どうして…?」

どうして松永さんなの?
どうして私だけじゃないの?

どうしてと考えれば考えるほど辛くなってくる

「ごめんなさい」

未来さんは一言また謝ると顔を前方に向けて何も話さなくなってしまった

「…謝らないで」

謝られるのは嫌
だって私の気持に応えられないから謝られてるみたいだから
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