Short

□二文字
2ページ/4ページ

****
部活帰り。
あいにくの雨の中、帰る方向が一緒だから
私はトビと歩いていた。

トビの方が歩くのが早いから自然と距離が延びてゆく。



「歩くの遅いんじゃ、ボケ。」
と笑いながら立ち止まって振り向くトビ。

「しょーがないじゃん。てか、トビが歩くの早いんですぅ〜。」
と私も言い返す。


いつもと何ら変わらない普通の会話。

ただ、一つ違うのは私の心臓だけがいやに速く動いてるとゆう事だけ。

「好き。」

たった二文字。
その短い言葉を目の前のトビに言うだけなのに。

鼓動の振動が鼓膜を伝わって耳の奥に響いて来る。
喉の奥が「その瞬間」に備えて熱くなる。

そして息を吸い込んで第一声を放った。



「あのさっ…!」

「ん?なんじゃ?」

「もしトビの事好きな子がいてさ、告られたらどう思う?」

ダイレクトになんか言えない。
私は布石を置いた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ