リクエスト・企画作品置場
□お風呂に入りましょう(*)
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一緒にお風呂、入りましょ?
乱れた寝台の上。
自分の隣で、高い背を縮めるようにして窮屈に寝そべる男にそう言われ。
マユリはこの上ない程、不愉快な表情で喜助を見遣った。
今宵。
いつものように喜助の何気ない誘導によって、躯を重ね合った二人。
快楽の後の気怠い躯と痛む尻に、マユリはギロリと喜助を睨んだ。
「勝手に入ればいいだろう…?
ワタシは後でいいヨ」
「まぁまぁ、そうおっしゃらずに!
マユリさんお身体、怠いでしょ?
アタシが綺麗に洗ってあげますからぁ〜」
嬉々と微笑む男を、マユリはとても憎らしく思った。
今もあれだけ激しい情交の後でさえ、喜助には疲労の影すら見えない。
少し細めなくせっ毛が乱れている程で。
夜更けにも関わらず、喜助本人の表情はむしろ元気だ。
何故だかいつも受け身となってしまう自分に比べ、肉体の消耗は随分少ないにしろ。日頃からのこの男の絶倫ぶりに、マユリは驚嘆さえ覚える程だ。
根本的な肉体の構成が、自分のそれとは違うのだろうか?
この男の身体を。
特に脳から延髄・脊髄・下半身全体に這う神経束を、一度は入念に解体してみなければと。
マユリは眠気を覚えながらも、そう思った。
「とにかく、ワタシは眠いのだヨ。…放っておいてくれ給え」
マユリの瞳が、眠気でトロンと虚ろになってゆく。
「マユリさぁ〜ん…もう、寝るんでスか?
まだ三回しか、シてませんよ?
しかもそんな何も身につけないで恰好で横になって…嗚呼アタシまた、興奮してきたっス!」
しっとりと汗ばんだマユリの肌と、トロリとした表情を眺め。喜助は心底やらしくねっとりとした視線をマユリに送った。
「五月蝿よ、浦原」
「だって寂しいんですもん?ココロとカラダが」
「はッ、ふざけるなよキサマ。
ワタシはお前の異常な性欲に、付き合うつもりはないヨ!」
「あら、照れちゃって…。あーんなに感じていらっしゃったのに…?」
「キサマがッ!しつこく弄るからだろうが。
全く、付き合いきれんヨ」
「マユリさんが、魅力的だからっスよ?」
「ふざけたコトを…、下衆がッ」
「そんな言葉にも、興奮しちゃいますよ〜」
「キサマなど、死ねばいいヨ…」
「それはまだ、嫌ッス」
冷徹な自分の言葉にさえも全く動じない喜助の態度に、マユリの眠気も段々と醒めてきた。
先程の身体がゆっくりと水に沈んでいく様な、心地好いまどろみは一体どこへ行ってしまったのか。
自分の横でヘラヘラと笑い楽しむ喜助を一瞥し、マユリは静かに寝台から立ち上がった。
「あれ、マユリさん?どちらに…」
「……風呂」
未だ寝台に寝そべる喜助を見下ろして。マユリは短く一言、そう告げた。
これ以上、下らない会話など交わす必要はない。
マユリは汗や体液やらでべとつく躯を清めるべく、風呂場へと足を進めた。
「…ッ…!」
足を進める度に。
喜助が放った白濁が重力に伴って、マユリの後孔から太股に伝い垂れてゆく。
その生暖かくトロリとした感覚に、ゾクリとした不快さがマユリを襲った。
「あー、いやらしい…」
後ろから、喜助の嬉しそうな声がする。
きっと、全裸で風呂場に向かう自分の背を舐める様に見ているのだろう。
マユリは無言で足を進めた。
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