主文
□ファースト・コンタクト
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瀞霊廷二番隊舎敷地内。
危険因子とみなされた死神達が、人知れず投獄・軟禁される場所。
通称「蛆虫の巣」
アタシは夜一さんに、半ば強制的にそこの番人を任せらることになりました。
看守なんて柄も、本当は堅苦しくてアタシは好きではありませんが、夜一さんの頼みなら仕方ありません。
実際、蛆虫の巣内部を初めて覗いた時は少し驚いちゃいました。
危険因子と呼ばれ投獄された死神達の、その多さ。
廃人の様に空虚を見つめる者、ぎらぎらとした憎しみの眼を向ける者…
それらを総括 管理するのが与えられたアタシ任務。
でも正直、そこに恐怖感も興味すらも沸きませんでした。
「浦原殿、こちらへ―」
そして、最後に案内されたのが巣の最も奥に造られた隔離室。
そこだけは比較的自由のきく他の場所とは別格の、鉄格子で閉ざされた異質な空間。
自由を奪われ、そこへ投獄された人物の名は
《涅マユリ》
蛆虫の巣で最も危険・凶悪・狂人と呼ばれる人物だと聞かされました。
アタシは一体どんな凶暴な野獣がいるのかと思っていましたが。
実際には、一見精気を全く感じさせない程に痩せ細った男が、狭い寝台に座っていたのです。
しかし服から覗く痩せた身体全体を青白い化粧で覆った、その奇異な外見。
暗い暗い牢獄のほんの少しの灯の中で、枷を付けた彼の身体だけは奇妙に浮き目立って見えました。
その姿を見たアタシは一瞬にして、涅という人物に興味を持ったのです。