主文

□解放の刻
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夜一の推薦・隊首試験によって、護廷十三隊・十二番隊隊長の後任となった浦原。



隊長格への昇進など、夜一の押しさえなければ浦原にとって余り興味のないところではあった。

しかし受け入れた以上、半端な気持ちでおれぬ立場も充分感じ取っていた。



そして、浦原には一つの夢・構想があった。

それは瀞霊挺内に新しい組織を立ち上げること。
その名こそ

《技術開発局》

虚だけではない、死神・人間・その他総ての生物・物質・空間の研究、探索。
そして新たな霊具・武具の発明の必要性を浦原は感じていた。


自分が隊長となった今、それを実現させることが本懐。


なので、同時に共に研究を進めることのできる核たる人物を探した。

博識であり、研究に対する熱意がある者。



考え込んだ結果は、割と直ぐに近くて見つかった。

浦原のその標的になった人物こそ現在も《蛆虫の巣》で監禁される、囚人最大の危険因子と呼ばれる涅マユリであった。





浦原は直ちに動いた。
上層部への開発局開設への要請。


しかしそれ以上に力を費やしたのが、涅の巣からの開放―。

予想はしていたが、後者の要望は見事に却下された。


涅が投獄されるまでに行った数々の凄惨な人体実験、思考。
どれを取っても、確かに危険因子の塊のような男だった。


だが反面、同じ研究者である浦原にも理解できることであった。

数カ月―。浦原は粘りに粘った。

長い時間をかけ、浦原は上層部を説き伏せ、この先起こりうる総ての問題を、浦原自らが責任を負う形での《涅の解放》という、異例の対処を手に入れることができたのだ。


浦原の念願は叶い、後は涅にそれを伝えれば良かった。


涅は浦原が思うに、最高の技術・知識を持つ科学者であり研究者。

外に出再び研究の道に戻ることを喜ぶだろうと、浦原は想像し早速涅の元へと足を運んだのだった。
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