主文

□無くしたモノ
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三年も前になる。




流魂街での変死事件。


死神の虚化への実験。


藍染惣右介の裏切り。


事件首謀者としてアタシにきせられた、濡れ衣。








それら総ての事実を証明するには、アタシの力は足らず。

藍染の狡猾さの前に、どうすることもできなかった。






夜一さんの力を借り、テッサイさんと共に現世に身を隠すようになり三年の月日が経った。



彼女には、力を剥奪されずに済んだけマシだろうと言われた。

確かに、感謝しなければ。





だけれど、落ち着く日々を過ごすたび。


アタシの頭には彼の事が思いだされ、どうしようもない焦燥感と口渇感で苦しむようになっていった。













「浦原殿、何かお考えか?このところ溜息が多いように思われますが…」



アタシの顔を覗き見て、テッサイさんが戸惑いがちに話しかけてきた。

その手には大量の洗濯物。




「いやぁ〜、僕たちが此処(現世)に来てもう三年も経つのかなんて。
ちょっと感傷に浸ってただけッスよ」



ヘラリと笑って、言葉を返した。






「確かに。あの事件から三年…、瀞霊廷では既にもう終わったことだと処理されている様子」



「そッスね…」


ハハッと笑ってみたものの、やはり根も葉も無い無実の罪をきせられたことについての怒りは、消えはしない。





「浦原殿。私はいつか藍染の陰謀が露顕し、この偽りの罪が晴れることを信じております…」



「そうですね、テッサイさん。
まぁ暫くはアタシとの共同生活が続いちゃいますけどね」



「現世での暮らしも、なかなか良いものですぞ」





少し笑って、テッサイさんは外に出て行った。











三年。




アタシ達死神にとっては何でもない、一瞬の時間。





でも一人になって彼の事を想えば、その月日が随分と長くに感じられた。




「マユリ、さん…」


もう何度、その名を呟いたことか。


その名を呼べば、いつもこの胸は締め付けられる。







涅 マユリ。



アタシが愛したヒト。










事件後すぐに監禁されその刑が言い渡された。

そして夜一さんに助けられ、現世へ渡った。







余りにも目まぐるしい日々の中、結局彼には一度も会うことが叶わなかった。









会えたとしても、アタシは何が言えただろうか?







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