主文
□夜一さん襲来!
1ページ/4ページ
今日は久しぶりの休日。
天気も良い。
だけれど、愛するマユリさんはお仕事中だ。
嗚呼、面白くない…
*
「ハァ〜、つまんないっスねぇ…」
アタシは一人、隊舎の縁側に腰掛け真っ青な空を仰ぎ見る。
大好きなマユリさんと一緒に仕事ができ、その姿を見ていられるのはとても幸せで。
彼が技局に入ってくれたことを、とても感謝する。
しかしアタシは十二番隊の隊長であり技局長。
マユリさんはその副局長。
二人一緒に休みを取ることなど、まず不可能。
よって、一緒にイチャイチャする時間がない!!
(アタシの希望。)
最近のアタシの悩みといえば、それに尽きるのだ。
なんて単純で子供じみた悩みだろうと、自分でも思う。
「相変わらず腑抜けた顔をしておるのぉ、喜助!」
「うぉっ!?」
若干、首が痛くなるまで空を見上げていたら。
突然、隊舎の庭に植えられてある巨木のてっぺんの葉が多きく揺れ、そこから見慣れた顔がチラリと覗いた。
「夜一さんっ!いきなり声掛けないで下さいよ。
びっくりしちゃいましたよ」
「それが目的じゃからの」
バサリと葉が落ち、次の瞬間にはアタシがくつろぐ縁側へと移動した彼女。
「相変わらず素早い動きっスね、しかも霊圧まで消して…。心臓に悪いっす」
ムスリと不機嫌さを装いながら、アタシは小さな溜息をついた。
四楓院夜一。
彼女は隠密機動総司令官にしてアタシの幼なじみ。
そして大の、イタズラ好き
「主がボゥっとしておるからではないか。
儂は霊圧を完全に消した覚えはないぞ?」
ニヤリと笑って、夜一さんはアタシの左隣に腰を降ろした。
「そのしたり顔、止めて下さい。
とゆーか、来るならちゃんと門から入って下さいよ」
セキュリティ万全な筈のこの隊舎に忍び込むとは、流石ですけどね。
「今日はつれないのう…、さてはまた女と痴話喧嘩でもしたのか!?
浮気はいかんぞ、喜助?」
キラキラと目を輝かせ、夜一さんはご機嫌だ。
「違いますよ。アタシは喧嘩も浮気もしてません!
夜一さん、一体何しに来たんスか?」
「フム…」
余りにつれないアタシの態度に、夜一さんは大きな金色の瞳をパチパチさせ、何やら何度も頷いた。
*