主文

□相似愛
1ページ/2ページ




マユリ様は私の親



何も無かった私にこの肉体と魂を与えて下さった、大事な大事な創造主。









マユリ様は自身の機嫌が悪い時、決まって一番身近にいる私に当たり散らす



それは暴言だけに留まらず、酷い時には私の肉体すら大きな損傷を負ってしまう程の暴力を伴った。



だけれどそんな後

マユリ様は必ず労りの言葉と完璧なまでの肉体の修復を私に与えて下さるのだから、私には不満の一つさえ在りはしない。










お前は所詮、人為的に創られた偽物の器と意識にしか過ぎないのだと

まるであの男の傀儡の様で憐れなモノだと





いつか知らない男にそう言われたけれど。
私はその言葉に何をも感じなかった





言われた意味が良く解らなくてそっと尋ねたら

マユリ様は何時にも増して激昂された後
私に向かってそれは優しい瞳で微笑み、けれど酷く冷酷さを秘めた瞳で彼方を見つめていた。





それから暫くして

私を憐れだと蔑んだ男の姿は、いつの間にかこの世から姿を消した。

ワタシを侮蔑した仕置きなのだと、マユリ様はそうおっしゃっていたように思う










そういえば、何時か阿近さんが私に言った。



マユリ様は以前、浦原喜助という人物と深い仲であったのだと。



私はやはりその意味が良く解らなくて、マユリ様にそっと尋ねたら
マユリ様は眉根を寄せて心底嫌そうに、そんな奴は知らないヨと呟いた。

けれども今まで見たことの無い程に、哀しみに揺れる瞳で私を見つめるのだから

私は益々浦原という人物に興味が湧いた。





私はマユリ様を傷付けてしまったのだろうか、

それとも浦原という人物がマユリ様を哀しませているのだろうか。





私の脳には、未だ解らない事柄が多過ぎる








だけれどこれだけは確かに言える。



私を構成する血肉全てはマユリ様、アナタ自身



私はマユリ様を愛し、マユリ様も私を娘として愛して下さる



それだけが、私の全て。










浦原喜助



貴方がマユリ様とその肉体・精神を交わらそうといくら努力を重ねても
結局、私に勝つことは永劫に有り得ない。





マユリ様と私は全てが一つ





それは永遠なる、完全な両想いなのだから







終。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ