小咄

□浮竹さんと京楽さん
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「何だか変な世界に来てしまったな…、どうする京楽?」



「う〜ん、…まァ別にいいんじゃない?
多分すぐ出れるんだろうしさ」



「全く…、君は呑気過ぎるんだよ」



「あははッ、そうかもね」






「ところで京楽、近頃やまじいの所に行ったかい?」


「いいや?
あそこに行くとボク、いつもお説教なんだ…。
だから行かないよ」



「君は今更なにを、説教されてるんだい…?」



「いやぁ〜、特別なコトじゃないよ?
もっとシッカリ働けとか昼間から酒呑むなとか寝過ぎとか…、後は女の子と遊び過ぎだ。
とかかなァ?」



「京楽、それじゃまるで駄目なオジサンみたいじゃないか!
やまじいも歳なんだし、そろそろ落ち着いて安心させてあげないと…」



「駄目なオジサンは酷いよ〜、浮竹。
ボクだって働く時はちゃあんとしますって。
しかもあのじいさんは、まだまだ元気だよ…?」



「確かに、やまじいは僕より元気そうだよね」



「おいおい浮竹、流石にそりゃないだろ。
ボク達とやまじいじゃ、歳が違うよ」



「ああ、でも僕は病弱だから…」



「浮竹……」



「あっ、すまないつい。
僕は大丈夫だよ。
頑張って生きて、やまじいの老後を看てあげないとね…」



「ああ、お前は大丈夫だよ浮竹。
それにしてもやまじいの老後は、想像出来ないねぇ」


「確かに…。
あと京楽、君聞いてるかい?」



「何をだい?」



「君の見合いの話し」



「なんだいそれ?ボク知らないよ」



「先日やまじいが僕に言ってきたんだ。
きっと君がいつまでもそんなだから、婚姻でもして落ち着かせようと考えてるんじゃないのかな…?」



「おいおい冗談でしょ?
ボクは元々こんな性格なんだから、そんなことで変わる訳ないじゃない…」



「やまじいは心配なんだよ…」






「やまじいもお節介だねぇ…。
で、キミはどう思うんだい?」



「何を…、だい?」



「僕に縁談の話しがあったんだろう?
キミはその話しを聞いて、どう思ったの、浮竹?」



「どうって言われても…。やまじいが言うことには逆らえないだろ…」



「ふ〜ん…」



「ふーんて。なんだいソレ!?」



「別にい〜。ただ冷たいもんだなって思ってさ、ボク達恋人デショ?
なんかちょっと、ショックだねぇ…」



「何を言うんだ京楽ッ!
僕はただ、やまじいの顔を立てて見合いだけして断ればいいじゃないかと思っただけだよ!」



「断ればいい、ねぇ〜?
随分とボクを信用してくれてるんだね、浮竹。
でももしかして、いいコだったら断れないかもしれないよ?」



「!?…そんな、」



「考えてもみなかった?」


「ッ!…それは嫌だよ、京楽…」



「ちょ、浮竹!泣くことはないだろ…。
ボクそんな意地悪言った?」




「…いやっ、僕が勝手に思い込んでいたんだ…。
京楽が僕の傍から離れる訳ないって。
とんでもない驕りだったよ、すまない京楽…」





「…参ったねぇ。キミからそんな熱い告白を受けるなんて思わなかったよ、浮竹。
やまじいに感謝、だよ」



「何を、言ってるんだい…?」



「だってそれって反対に、キミはボクの傍から一生離れないって思ってくれてるんでしょ?
最高の愛の告白ダヨ?」



「そんなっ!!」



「…違うの?」



「…違わない…よ、」



「フフッ…。じゃあそういうことで、やまじいには断りに行かないとねぇ」



「いいのか…?」






「勿論。言ったでしょ、
ボクやる時はやるんだよ?」



「京楽…―」






「大丈夫だよ、浮竹…」

















ボクはキミの傍から、離れてあげないから。







終。
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