小咄

□京楽さんと浦原さん
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「あらァ?浦原隊長。
今日も変わらずいい男じゃない」



「あ、京楽隊長!どうしたんスかこんな所で?
いい男って…、貴方に言われても嫌味にしか聞こえないっスよ」



「あれ、何でだい?
若くていい男が新隊長になったって、瀞霊廷の女の子達が噂しているよ。
全く、羨ましい限りだねェ」



「そッスか?初めて聞きましたよ。
でもやっぱり、ボクなんてまだまだ。
京楽隊長みたいな大人の魅力には、勝てませんからね」



「ふふ、嬉しいこと言ってくれるじゃないの。
そういやキミも自分のことボクって言うんだね?
ボクもだからさァ、何だかかぶっちゃうね」



「あ、すみません…」



「いや、いいんだよ…。
それよりキミ、隊長の仕事はもう慣れたのかい?」



「まぁ、ぼちぼちっスかね。思いのほか事務仕事が多くて苦労してますが…。
今はマユリさんが殆ど肩代わりしてやって下さってるんで、大丈夫っスけどね」



「ほぅ…あの副局長がねェ」



「はい。マユリさんはとてもよく働いてくれてますよ」


「ふ〜ん…。最初はどうなることかと思ってたけどね。
さすがは浦原隊長、キミの人選に間違いはなかったようだね」



「いやぁ〜、実際ボクなんてマユリさんに比べたら科学者としてまだまだっスよ。
彼の方がその道では優れていると、ボクはそう感じてるんス」



「そうなの?凄いねェ。
キミにベタ褒めされる位だから、彼の知識も相当なものなんだろうね…。
一度皆で、一緒に飲めるといいんだけどね?」



「そっスね。…でも、マユリさんああ見えてとてもシャイなんスよ。
京楽隊長みたいな男前を前に酒が呑める程、慣れてませんからね」



「おや?駄目なのかい」



「ボクでよければ、いつでもお付き合いするっス」



「つれないねェ。
大事なお姫様は、狼の巣に出す訳にはいかないってトコかい?」



「ハハ…、単にボクが心配性なだけっスよ」



「ますます気になるねェ。キミがそこまで気に入ってる、副局長殿」



「駄目っスよ、京楽隊長。ボクが見つけた人なんスから、横取りしたら怒りますよ?」



「おいおい、笑顔が恐いよキミ。
いいねェ〜、うん。
横取りなんてしないからさ、一度飲もうよ皆で。
そうだ!浮竹も呼べばいいんじゃないかなァ?
奴は穏やかだからねぇ、案外キミの所の副局長とも仲良くなれるかもよ?」



「浮竹隊長っスか、確かに場の空気は和みそうですね。
実はボク、ちょっと気になってたんスよ…」



「ん?キミが、浮竹をかい」



「えぇ。ボクが隊長に就任してから当分、皆さん割と冷たかったでしょ?
浮竹隊長だけなんスよね、ボクに優しくしてくれたの…」



「ちょ!駄目だよ、浮竹はボクのだからさ。
ちょっかい出したら怒っちゃうよ、ボク」




「それは恐いっスね。
ふふ…。京楽隊長、ボクも貴方と同じ気持ちなんスよ?
ボク、マユリさんの事はとても大事にしてるんス」




「…はは。そういう事か!キミ、やっぱり面白い奴だねェ。アノ彼を?」



「ええ。まだ、片想いっスけどね」



「うーん…、確かに彼はそこらの女の子より随分と気難しそうだからねェ。
大丈夫なのかい?」



「ええ、勝算はあるんスよ。
ただ、ボクの命懸けの恋っすからね。念入りに計画中なんスよ?」



「物騒な恋だねェ…。
ま、殺されないように頑張ってよ」



「ええ。それにしても京楽隊長と浮竹隊長って、やっぱりそういう仲だったんスね?」



「あ、嗚呼!そういやサラッと言ってしまったね。
これ、浮竹には内緒ね?
怒られちゃうから」



「浮竹隊長、怒ったら恐そうっスもんね」



「それと、念押しだけど。ボクの浮竹に手を出しちゃダメだよ?」



「分かってますよ。
さっき言ったのはただの牽制っスから。
ボクの可愛いマユリさんに、手を出されるのも困りますからね」




「…これは、なかなか。
キミやっぱり凄いよ、浦原隊長殿」







「では、
ボクが命を落とさないところちゃんと見てて下さいね、京楽隊長殿…?」









終。
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