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□其の行方
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―技術開発局・書庫―
薄暗く少し埃っぽいそこには、膨大な量の解剖・医学・文学・化学・天文・古い研究書籍などあらゆる文献が集められている。
「ふム…これは興味深い資料だネ。今度の研究に、少し改良して取り入れてみようか。」
本棚の前で少し背を丸め、細い指先で資料をめくりながら、マユリは満足げに眼を細めた。
「いい資料、あったッスかぁ〜?」
「…」
「まだ、終わりませんかぁ〜?」
「………」
背後から聞こえる、安穏とした男の声に、マユリの表情は徐々に険しくなる。
「マユリさぁーん!」
「っ!いい加減、五月蝿いヨ、浦原!!」
ギロリと睨みつけた先で、喜助がヘラリとした笑みを浮かべる。
喜助は、書庫の片隅に置いてある椅子に腰掛け、机に数冊の資料を積み重ねていた。
「大体!貴様が調べ物があると、無理に私を此処へ連れて来たんじゃないかネ。しかし何だ、程からそこの資料、全く見てないじゃないか!?」
「そ〜んな事は、ありませんよぉ。
いやいや確かに!…貴方に見とれてしまって、字が霞んで読めなかったのは事実っスけどねぇ」
喜助はマユリの怒気を気にも止めず笑顔をむける。
「…私は忙しいんだヨ、浦原」
「ええ、存じてますよ〜」
「貴様っ!」
全く変わらない喜助の態度に、グッとマユリの眉間に皺が寄った。