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□欲望から生まれる無垢
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随分と、馴れてきたものだと。
自分の性器に懸命な奉仕を続けるマユリを、喜助は恍惚とした瞳で見下ろした。
上体を起こし座る喜助の姿勢では、床に膝を付き屈み込む姿勢でのマユリの卑猥な口淫の様子が、恥ずかしげもなく目に映り込んでくる。
じゅるじゅるとした粘液音を立て、紅い舌を喜助の性器に絡ませるマユリ。
時折覗く自分の猛った性器と、テラテラと濡れるマユリの唇が喜助の劣情を更に刺激した。
彼が自分のモノをこんな形で愛撫してくれるのは珍しい事で、喜助にとっては涙ものの絶景。といったところだ。
「はッ…、マユリさん…そんな強く吸ったら駄目ッスよ。
アタシ、すぐ出ちゃいますって…」
喜助は目に映る彼の恥態と性器への刺激に射精感を覚え、マユリの柔らかな髪に自分の指を絡ませる。
少し力を入れ髪を引っ張ると、不機嫌そうに眉をひそめたマユリが少しだけ顔を上げた。
「…五月蝿い奴だネ、貴様がしろと言ったんだヨ?」
「ははっ、まぁ…確かに」
でもまさか素直にして貰えるなんて…
ヘラリと笑って、喜助は濡れるマユリの唇を優しく指で拭った。
*
そもそも、自分とマユリが躯を重ねる仲になったのはいつからだったろうか?
喜助は欲情で濡れるマユリの金の瞳を見つめながら思い返す。
あれは確か半年も前になる
ある日の夜、気まぐれでマユリに酒を誘ってみた喜助。
しかしアッサリと了承した彼の返事に、誘っておきながらも喜助は驚いた。
だが、既にマユリに好意を寄せていた喜助。
これは近付く好機と、とにかく気分は昂揚し、喋りと酒のピッチは普段より数倍上がった。
マユリの方も喜助の話しに耳を傾けながらもちびちびと、しかし結構な量の酒を口にした。
珍しく、穏やかな時間。
そして暫く経った頃、不意に二人の間に静かで妙な空気と時間が流れた。
妙な緊迫感と、ムワリと躯中が熱っぽく浮かされていく感覚。
心と躯の、疼き。
そして見つめた先にあった、化粧を落とし酒で朱く染まったマユリの肌の色香。
トロリとどこか焦点の合わない瞳。
喜助はそれから先、引き寄せられるように腕を伸ばし、抵抗もない彼を抱いた。
それからも二人は互いの気分が合う時、こうして躯を重ね合っていた。
しかしそんな行為を繰り返したところで、二人の間に吐精時の快楽は伴えど。
恋だの愛だのそんな甘い結論が出る筈もなく、
情事の翌日には何の記憶も持たないような、平然としたマユリの姿があった。
喜助もマユリに対し、自分に特別な感情を持って欲しいなど、そんな稚拙な感情を抱いていた訳ではない。
しかし既にマユリに小さな好意を抱いていた喜助は、躯を重ねる度に何故か虚しさと少しの疑念が頭をもたげるようになった。
マユリは何故、自分に抱かれるのか―?
だから今も、喜助は情欲に揺れるマユリの瞳に問いたくなる。
アナタの心の在りドコロ。
*