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□私と彼が望むコト
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情事中。



傷をつけろと言われ。
アタシは彼の、首筋の薄い皮膚を思い切り噛んでやった。




「んッー!ふぁ…ア!!」


そうした瞬間、ビクリと弓なりに震えた彼の薄い背中。


アタシは彼を後ろから貫いていたものだから、その表情が見れなくてとても残念だ。






「ふふっ、後ろも凄いビクついて。
マユリさんイッちゃったの…?気持ち良かった…?」


自分の猛った性器を未だ彼の中に埋めたまま、アタシは低く囁く。


先程噛み付いたマユリさんの首筋にはくっきりと鬱血した歯列の跡が残り、一部の表皮からは赤い血が滲んだ。





「あら、元気っスね?」



しっとりと汗ばんだマユリさんの肌に触れ、彼の性器に手を伸ばしてゆくと。

そこは吐精後にも関わらず、緩く勃ち上がってくる。



「ウ、ふッ…、ア」


からかうように呟き、ゆるゆるとソコを指で撫でてやると、敏感過ぎる彼の口からは何とも艶めいた吐息が漏れた。




「痛いの、好きっスよね」


じんわりと血溜まりを作り始めた首筋の傷に舌を這わせれば。


アタシの性器が更に深く彼の秘孔に押し入ってしまい、マユリさんは痛みと快楽に再び喘ぎ始めるのだった。

















情事の際、マユリさんはそれはそれは卑猥な生き物へと豹変する。



それはいつもの仮面と化粧に隠された、彼の本質。



冷酷な無の感情に潜む激情と劣情が、快楽によりいともたやすく解放されることなど、アタシはとうの昔に知ってしまったのだ。





彼の淫猥さや快楽に悶える様を観ることが、アタシの喜びであり最高の悦楽。



だから彼が望むことは、何でもした。
















「マユリさん、今度は気持ちイイのが良いですか?
それとも、また痛く…?」


「…ふッ、ア…も…もっと、酷くッ!!」





今日の彼の躯は少し、自虐性を好む様子だ。





そして絞り出すようなマユリさんの掠れた声に、アタシの下半身は素直に熱く、反応していく。



「あんまり酷いコト、したくないんスよ…?」


囁き。希望通りに彼の首筋の傷に爪を立ててみる。



「イ゛つッ―!あ、ハッ…イタイい、ヨ…うらは…ら」


叫びながらも、マユリさんは更にねだる様に腰を押し付けてくる。


自らの欲望に忠実な彼の姿が、アタシはとても愛おしい。





「ふッ…、マユリさん…。アタシ本当はアナタに、気持ちイイコトだけ、してあげたいんッスよ…?」



更に深く、首筋に爪を食い込ませる。
柔らかい肉に沈んでいく指先の感覚が何とも不快で、反面とても興奮した。


細かい血管がいくつか切れたのだろう。
少しだけ伸びたアタシの爪を全て埋め込むと、そこから赤い血が垂れてきた。



指先に感じる血液の暖かなヌメリと僅かな鉄臭さ。

それは仕事柄慣れ親しんだ感触だけれど。

それが彼のものだと思えば、アタシにとっては興奮剤と大差はなかった。






切れたのは細い静脈と毛細血管のようで、血の流れは緩やかだ。





だからアタシは構わず、そのまま腰を進めた。









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