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□闇に塗れた逢瀬
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クロツチマユリと更木剣八




元々その思考や生き方自体が真逆の二人は他者から見れば水と油、まさに犬猿の仲。

だが対立し牽制し合う仲であっても、何故か今まで大きな一線を越え本気で争うことはなかった。
それは二人が全く異なる互いの力の大きさを、心底で感じ取っていたからであった。

知力と策略に長け巧妙且つトリッキーな戦力で他を圧倒するマユリと、ひたすら自身のその凄まじパワーのみで戦い自体を好む剣八。

そんな二人が本気でぶつかり合った所で起きる被害は想像を超え甚大だ。
仮にも互いに隊長を名乗る身分、今までいかに腹立たしいやり取りを交わそうとも怒りが爆発する寸前にどちらともなく身を引いていたのだ。



そして意外にも、二人は時折どちらともなく互いを求め合う関係となっていた。














その日の深夜。

マユリの自室に突如姿を現した剣八は、その圧倒的な腕力でマユリを易々と捕らえその身を床に押し倒した。


勢い後ろに倒れ込んだマユリはしたたかに後頭を床に打ち、軽い震盪を起こした頭をふるりと持ち上げかけたと同時に、男に首筋を噛み付かれのだ。



突然の出来事に暫く停止してしまったマユリの躯。
剣八にそのまま首筋をベロリと舐め上げられ、ザラリとした舌の感触にマユリの肌がゾワリと粟立った。



「なッんだ…ネ!何をするつもりだッ、更木!」



男の突然の行為に、マユリの目が見開かれる。



「お前を見てると、腹が減ってどうしようもねェんだよ」



剣八はマユリの耳元で、それは低い声で一言だけ唸るようにそう呟いた。

それから男はマユリを組み敷いたまま、死覇装を次々と引き裂くような勢いで剥がしていった。
衣類を脱がされるその間、叫ぶように出したマユリの抗議の声に、剣八は至極つまらなそうな表情でマユリの顔を見下ろした。



「更木ッ!此処はワタシの宿舎なのだが?
勝手に侵入して、このようなコトを!!
キサマただで済むと思うのかネ!?」

「勝手?ハッ、んな事いちいち気にしてられっかよ。
そんな事よりクロツチ、俺はてめぇが喰いてぇ…それだけだ」



そう言うと、剣八はマユリの両腕を片手で拘束したままその躯に馬乗りに跨がった。



「ざらきッ…キサマっ!」



喰いたいだと?

ワタシをそこらの脆弱な補食物か何かと間違えているんじゃないかねと、マユリは自分よりも遥かに重量のある男に跨がれ呻きながらもそう叫んだ。

更に身をよじって男の戒めから逃れようともがいてみたが、腰部を圧迫され全く身動きが取れない。

その間にも剣八は余裕ぶった表情でマユリを見下ろし、彼の着流しの胸元を勢い良く開け広げる。

そして見下ろすマユリの肌に目に留めるとニタリと意味ありげな笑みを浮かべ、無骨な指先でマユリの胸の突起を捻る様に一撫でした。



「ン、ひッ!」

驚きの余りマユリの躯がピクリと跳ね、擦れるような刺激に思わず小さな悲鳴が洩れた。

どういうつもりかと問えば、気に入らないお前の本性を暴きに来たのだと。
剣八は獲物を狩る時の様に目を細め、楽しげに笑ってマユリにそう告げた。





マユリは今まで剣八と、何度か肉体を交えていた。

最初にそのような関係になったつまらぬ経過や理由など、既にマユリの脳からは剥げ落ちてしまっている。



だから今回も、剣八のこの行為は溜まった精を吐き出す為の目的なのだろうと、単純にそう思った。

しかしそれが嗜虐的なものであれ別の意味を持つにしろ、このような一方的で威圧的な剣八の行為に、マユリは嫌悪と僅かな混乱に抗う瞳を向けた。



「ワタシは、この様な野蛮な行為は許さないヨ」



「野蛮も何も、最後はいつもよがって俺を離さねぇのはどこのどいつだ、え?」




嘲笑うような剣八の声に、マユリの頭に血が登る。

確かにマユリは剣八のこの無遠慮で品のない物言いを嫌悪していたが、時に与えられる獣のような荒々しい肉体への快楽は嫌いではなかった。



マユリが言い淀んでいると、剣八はニヤリと笑って胸の突起に舌を這わせ強い力でそこを噛んだ。





「ッんっ!…はあ、更木ッ…いい加減に、ワタシの上から退き給え…ヨッ!」



「嘘付くんじゃねぇよ。
クロツチお前、このまま犯して欲しいって面してるぜ?
自分で気付かないなんてとんだ性悪だな。
それとも俺が無理矢理犯したみてぇに思いたいのか?確かにその方が気持ちが高ぶって、てめぇにはイイのかもなッ」



「下劣な獣がッ!」



「ハハッ!!」



近くから顔を覗かれ噛み付く様に睨むマユリに、剣八はただ楽しげに笑うのみ。





噛まれた胸の部所がヒリヒリと痛み、しかしそれだけで己の躯の奥底から這い出るじりじりとした情欲の感覚に、マユリは自らを嘲笑った。







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