リクエスト・企画作品置場
□主と奴隷(*)
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欲望が開放された後は気怠い身体と、不思議とクリアな意識が残される。
クタリと崩れるマユリさんをいつものように粗末な寝台に運び、アタシもそこへ腰掛ける。
いつもより更に血の気の失せた彼の顔を眺めていると、不思議とアタシの心は落ち着いていく。
「マユリさん、もう他の誰ともセックスしないで…」
「……」
呟くアタシを見上げる、マユリさんの瞳。
「こんなこと言う資格なんて、アタシにありはしない。…分かってるんです」
「面倒な、奴だネ…」
「マユリさん。アタシの記憶も消しますか?
あの、男みたいに…」
「…それじゃあ意味がないだろう?」
「な、に…?」
「せっかく、仕組んだ演出だよ。
しかし全く…想像以上にヘタレな男だネ、浦原」
マユリさんはそう言って、ゴロリと背を向けて寝入っていった。
全ては、アナタに仕組まれた罠。
奴隷は最初から、アタシだったようだ。
終。