リクエスト・企画作品置場
□本能と恋というもの(*)
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「マユリさんのソコ、もう勃っちゃてますよ?」
床から身を起こそうとするマユリさんの下半身を見れば、薄い着物の布地からでも彼の性器がゆるりと勃ち上がっている形跡が見て取れた。
「フフッ…、アタシに蹴らて汚物を吐き出して興奮するんスか?
アナタも大概たいへんな、自虐癖をお持ちの変態さんッスよねぇ?」
アタシのそんな歪んだ欲望にすら反応を見せてくれる、彼の躯と精神が愛おしくて堪らない。
「五月蝿いことだヨ、浦原…」
じとりとアタシを睨みつけながらも、マユリさんはふらりと床から立ち上がる。
「全く悪趣味だヨ貴様は。ワタシを痛みつけて組み敷くのが、そんなに楽しい事なのかネ?」
「…。アナタの苦しむ表情も、快楽に酔う顔も。
アタシにとってはどちらも同価値なんスよ」
どちらのアナタも見ていたいと思う程に、アタシはもうずっと彼に夢中なのに。
アナタはアタシの手から逃げようとするのだから、傷付けてでも奪いたいと思うのが、動物の本能でしょう―?
じりじりと後ずさるマユリさんの腕を捕まえて、その首筋に噛み付いてやれば。
彼は低い唸り声を上げつつも、抵抗を示すことはない。
むしろこれから与えられる苦痛と快楽に思いを馳せ、きっと恍惚とした表情を浮かべているに違いない。
このまま、彼の吐物に塗れた咥内を味わうのも悪くはないと。
アタシはそう思った。
終。