主文

□続・技術局の夏
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散らばる局員を見送り、残った喜助・阿近・ヒヨス。




「どー考えても浮いてますって、俺達。場所のチョイス間違えたんじゃないすか隊長?」

ヒヨスがその突き出た眼球で浜辺を見渡した。



基本的に技術開発局のメンバーの外形は、人型を超えた様相の者が多い。

周り中、薄い布を巻き付けただけの人間達に囲まれ、ヒヨスはややビビッていた。



「おや。ヒヨスさん、案外と繊細なんスねぇ〜。
どーせ人間達にアタシら死神なんて見えないんだ。
気にせずパアっと、楽しんで来て下さいよ。
できたらリンさんは此処が初めてなんで、付いてあげて貰っていいすかね?」


そうかな〜?と、ヒヨスも首を傾げながらリンの跡を追った。






「で、阿近くんは行かれないんスか?」



「俺は涅副局長待ちです。その巨大生物捕獲を手伝うようにって、言われて来たんですから」



ヘラリと笑う喜助をジトリと見遣り、阿近は返答する。



「そーすね、マユリさん後から来るって言われたのに遅いじゃないッスか!
せっかくひよ里さんが留守番申し受けて下さったのに!!」



「副隊長は来たくなかったんですよ…」



阿近の呟きは、変にテンションの上がった喜助には届かなかった。











暫く喜助と阿近は二人、海を眺めながら取り留めのない話しをしていた。

すると背後から見知った霊圧と気配を感じ、阿近は勢いよく振り返った。



「あっ!副局…ちょ」



「全く、五月蝿い所だネ」


「なッ…!!?」





振り返り見たマユリの姿に、阿近は今まで死神として生きてきた生涯で一番、驚愕し言葉を失った。



「あ、の…ふく局、長…」



「なんだネ、阿近?」





驚愕する阿近の眼に映ったのは、いつもの奇妙な化粧を施したまま半裸状態で器材を抱えるマユリの姿だった。



いつも見馴れてる筈のマユリの姿だったが、照り付ける太陽と清々しい青空の元では、はっきり言って浮きまくりである。

しかも、上着には薄い花柄のシャツなど羽織っていたのだから、更に珍妙に浮いて見えるのだった。



ひよ里が見ようものなら爆笑するか、ドン引きだっただろう…



何にしても、阿近は今までにない精神的ショックを受け放心状態に陥る。



「どうした阿近、妙な顔をして…?さては浦原に無理矢理着せられたこの羽織りが可笑しいねかネ!
浦原っ、キサマやはり私を笑い者にする為にこの妙な羽織りを寄越したのか!」



阿近の表情から勝手に解釈し、怒り始めるマユリ。



「違いますよ、副局長…」


アナタ全体的に、浮いてます…






それ以上は言えなかった。
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