UNDER
□邪淫
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普段のマユリさんは、本当にその心までも自ら剥ぎ取ってしまったかのように、感情を表に出さない。
普段、局員とは必要最小限の言葉は交わすものの、
その表情はどこか虚ろげで無機質なものだった。
たがほんの時々、そんな彼がその感情をたかぶらせる瞬間がある。
それは、彼の唯一無二の趣味・嗜好であり、彼を支える原動力となるもの。
解剖・検視・解体・改造。
新種の研究材料を見つけた瞬間の嬉々とした彼の顔。
そしてその対象に手をかける時の無心で残酷な、恍惚とした表情―。
そしてそんな日を送った彼は、一日とても機嫌が良かった。
しかしその高ぶる感情は、なかなかに治まるものではない様子で。
彼はいつからか夜ともなれば、ふらりとアタシの寝所へと赴くようになっていった。
狡猾で貪欲なアタシは、彼のそんな些細な感情の揺れさえ決して見逃さず。
近付き利用し、その躯を手に入れた。
理由なんてのはとても陳腐なもので。
ただただ、涅マユリという興味深い生き物を手に入れたかっただけだった。
*