短編集(BASARA)

□雪月花
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「…雪…?」

戦場に白い雪が舞った。
名無しさんはハッと空を見上げる。

「政宗様…ご無事で…。」

祈るようにつぶやき、周りの敵を切り伏せる。
名無しさんの周りは、敵、敵、敵。
将である名無しさんを敵が囲む。

「名無しさん様!」
「来ないで!政宗様が来るまで抑えるのよ!
私のことはいいわ!あなたたち自身のことを守りなさい!」

駆け寄ってこようとする部下をとどめ、名無しさんは技を放った。
蒼い雷…いや、花びらだ。
花びらが政宗の雷のように敵を襲う。

「私の命に代えてでも…この戦、政宗様の勝利に終わらせるわ!」

名無しさんが叫び、さらに技を放ったそのとき、

「Hey!Honey!そんなこと言ってんじゃねぇよ!Honeyの命は俺のもんだぜ?」
「名無しさん様、ご無事ですか?」

馬に乗った政宗と小十郎が駆けつけた。
雷をまとった二人が回りの敵を吹き飛ばす。

「政宗様!小十郎様!」

馬を飛び降り、武器をふるう2人に、名無しさんは驚いた声うをあげる。

「政宗様!なぜここに!?」
「この戦、すぐおわるぜ!Honeyのおかげでだいぶ将が倒れてる。」
「部隊もおそらく本陣以外、壊滅状態ではないかと。」

三人で武器をふるいながらお互いの背をまもる。

と、そのとき、

「狼煙だ!撤退!撤退!!」

敵の慌てた声が響いた。

「な?」
「えぇ。勝ったんですね。」

政宗と小十郎が馬に再び乗る。
横に立つ名無しさんもほほえみ、2人を見上げた。

「Honey、乗れ。帰るぞ。」
「え!?ちょっ…!きゃぁっ!」

すると、政宗は名無しさんの腕を引っ張り、
馬に乗せた。

「ま…政宗様ッ…!」
「早く帰るぜ?つかまってろよ。」
「きゃぁっ!」

急に走り出した馬に名無しさんは悲鳴を上げ、政宗にしがみついた。




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