短編集(BASARA)
□君の知らない物語
2ページ/11ページ
「たまには梵もいいこと言うんだね。」
馬で走る夜道。成実が笑いながら言った。
夏の暖かな空気が頬をくすぐる。
「たまには、だと!?」
「成実の言うとおりじゃない♪この前は夏になる前で寒いのに泳ぎに行こうとか言ってたじゃない。」
私もクスクス笑い馬の頭をなでた。
「愛は、政宗様といられれば幸せですよ。」
愛も少し笑いつつ言った。
馬に一人で乗れない愛は政宗の馬に一緒に乗り、成実と私はそれぞれ自分の馬にまたがっていた。
「はい、愛はノロけないの。
いいねぇ・・・恋する女の子ってキレイになるって言うしね♪」
私はニヤッと愛に笑いかけた。
夜道でもわかるくらいに愛の顔が朱に染まった。