短編集(BASARA)
□君の知らない物語
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「ここだぜ!よくster watchingできるとこ!」
小高い丘の上。3頭の馬をつないだ私たちは空を見上げた。
「うわぁ!すごい!!」
愛がはしゃいだ声を上げる。
「喜んでもらえたみてぇだな。」
政宗が満足そうに言い、地面に寝転がった。
「寝たほうがよく見えるね!」
政宗から少し離れ、成実もねころがる。
私は空を見上げ、
「まるで…星が降るみたい…」
とつぶやいた。
「名無しさんは表現の仕方が上手だね!
本当にそんな感じだよ!ね?梵。」
「あぁ…beautiful…」
私の言葉に反応した成実に話を振られ、政宗もうなずく。
「愛。政宗の隣、すわったら?」
「えっ!?」
「ほらほら♪座った座った♪
政宗!愛はまかせたよ!」
愛を政宗の横に座らせ、私は少し離れていた成実の横に座る。
愛、政宗、私、成実の順で座り、皆で空を見上げる。
皆が空を見上げる中、いつのまにか私はすっと視線を少し離れたところにいる政宗へとうつしていた。
ととのった顔に謎めいた印象をつける眼帯。
いつからだろうか…。
私が政宗のことを目で追うようになったのは。
政宗は私の幼馴染。
そして遠くから嫁いで来た私の親友の愛…愛姫の婚約者。
それはわかっている。
なのに…
『あなたに恋をしている』
そう伝えたい。
お願いだから驚かずに聞いてほしい。